不妊治療で同意なく他人の精子使用、夫が医療法人を提訴 1100万円賠償請求
不妊治療で同意なく他人の精子使用、夫が提訴

不妊治療をめぐり、妻が第三者の精子を夫のものだと偽って提供し出産したのは、病院側の確認が不十分だったためだとして、元夫の京都市在住の男性が、病院を運営する医療法人に対し1100万円の損害賠償を求める訴訟を京都地方裁判所に提起した。男性は「妊娠に関与できないまま第2子が生まれ、子どもをもうけるかどうかの自己決定権が侵害された」と主張している。

訴訟の経緯と主張

訴状などによると、男性と元妻は2020年1月、第2子を授かるために不妊治療の契約を病院と結んだ。しかし、2022年1月以降は別居し、離婚協議に入った。元妻は夫の同意書を偽造し、夫との受精卵を子宮に戻したが妊娠には至らず、その後、第三者の精子を夫のものと偽って病院に提供。2023年8月、この精子を用いて出産した。2人は2025年5月に離婚している。

原告の男性は、病院から対面で同意を確認する機会があれば、同意書の偽造や第三者精子の提供に気付くことができたとし、病院の確認に過失があったと主張。元妻は有印私文書偽造・同行使の罪に問われている。

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口頭弁論での発言

訴訟の第1回口頭弁論が6月3日にあり、閉廷後、男性は取材に対し「不妊治療は命の誕生に関わる大切な選択。妻だけでなく、夫にも同意を確認してもらえば防げた」と述べた。男性の弁護士は「病院は妻から離婚調停中と聞いており、夫の同意について疑いを持てたはず。夫に確認すべきだった」と指摘した。

第2子については、元妻が養育しているが、男性と戸籍上は親子のままであり、養育費も支払い続けているという。

病院側の反論

一方、病院側は男性の請求棄却を求めている。答弁書では、同意書の偽造を疑う事情はなく、予見はできなかったと反論。取材に対し「事実誤認に基づく訴訟であり、対応が適切だったことを訴訟内で明らかにする」とコメントした。

学会の指針と課題

日本産科婦人科学会のホームページでは、不妊治療を実施する医療機関に対し、十分な説明をした上で移植ごとに夫婦の同意を得るよう「見解」を示している。しかし、夫に対する本人確認の明確な規定はなく、今回の訴訟はその点に一石を投じる可能性がある。

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