埼玉県川口市で1日、ケアマネジャーの女性が訪問先の住宅で刃物で刺され死亡した事件で、県警はこの住宅に住む無職の男(60)が女性を刺し、さらに自らの首を切りつけて死亡したとみて調べている。被害女性はケアマネとして、男の母親の支援を担当していた。
在宅サービス、繰り返される事件
介護や診療のために住宅を訪れた人が危害を加えられる事件は、これまでも起きてきた。外からの目が届かない訪問先で、介護や医療従事者の安全をどう確保するのか、現場は苦悩している。
埼玉県の大野元裕知事は2日の記者会見で「(ケアマネが)複数で訪問できる制度が必要だ。国に対しても強く訴えていきたい」と述べ、危機感をあらわにした。
過去の類似事件と県の対策
埼玉県内では、ふじみ野市で2022年1月、在宅医療を担っていた男性医師が訪問先の住宅で散弾銃で撃たれ死亡。23年3月にも、川口市で往診に訪れた医師と看護師が監禁される事件が起きた。
ふじみ野市の事件を受け、県は22年12月に「介護・障害福祉事業所等暴力・ハラスメント相談センター」を開設。元警察官らがケアマネをはじめ介護・看護従事者の相談を受け、助言したり無料の弁護士相談窓口へつないだりしてきた。
さらに、トラブルに備え、看護師や介護職員が複数人で患者や利用者の家を訪ねやすくしようと、2人目以降の報酬の9割を事業者に給付する施策も、県独自で行ってきた。しかし、この施策はケアマネは対象外だった。
ケアマネの役割と課題
ケアマネは介護や支援が必要な人からの相談を受けてケアプランを作り、自治体や居宅サービス事業者との連絡や調整を担う。支援先の家を1人で訪れることも多い。県は、ケアマネも2人で訪問できるよう、新たに制度の対象にする検討を始めたばかりだったという。
現場の苦悩
介護の現場では、安全確保は切実な問題だ。埼玉県上尾市の居宅介護支援事業所の管理者は「最初から怪しんでいたら信頼関係は築けない。しかし、命を守るためには何らかの対策が必要」と語る。今回の事件を受け、訪問介護の在り方が改めて問われている。



