伊勢志摩サミットから10年、今も生きる「おもてなし」の理念 海外富裕層誘致の課題
伊勢志摩サミットから10年 おもてなしの理念と課題

2016年5月26日と27日、三重県志摩市の賢島で開催された伊勢志摩サミットから、26日で10年が経過した。この主要国首脳会議(G7サミット)は、安倍晋三首相(当時)やオバマ米大統領(当時)ら先進7カ国の首脳が集い、世界経済や外交政策を議論した。国内での地方開催としては、2000年の九州・沖縄、2008年の北海道洞爺湖に続く3回目となった。

サミットが残した「おもてなし」の理念

サミットの主会場となった賢島では、地元住民が一丸となって「おもてなし」の精神を掲げた。近鉄賢島駅2階にある伊勢志摩サミット記念館「サミエール」の職員、山崎勝也さん(81)は「サミット開催地になったことは誇り。地域が一丸となって取り組んだ経験は宝物だ」と振り返る。同館では、サミットで使用された尾鷲ヒノキの円卓や各国首脳のサイン、等身大パネルを展示しており、当時の熱気を伝えている。山崎さんは当時、地元自治会長として祝祭ムードを体感し、今も案内役として「おもてなし」の理念を胸に刻んでいる。

賢島の知名度向上とインバウンド増加

人口100人に満たない賢島は、サミット開催後、その知名度が急上昇した。駅前の真珠販売店社長、岩城悟さん(46)は「当時は売り上げが1.5倍になった。サミットが賢島の観光の起爆剤になった」と語る。サミットの余韻は約2~3年続いたが、その後も新たな客層として訪日客を取り込む動きが活発化した。

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官民で構成される伊勢志摩観光コンベンション機構によると、2024年に伊勢志摩地域に宿泊した訪日客は7万7000人で、2019年から72%増加した。特に注力したのが、富裕層など消費額の大きい「高付加価値旅行者」の誘致だ。欧米や東南アジアを中心に営業を展開し、1人当たりの消費単価は2019年の2万9000円から2024年には4万9000円に伸びた。同機構の須崎充博専務理事(64)は「海外の富裕層は伊勢神宮の歴史や精神性、海女など独自性の高い文化に関心がある」と分析する。

県全体への波及は道半ば

サミット開催の効果について、一見勝之知事は5月22日の会見で「地元だけでなく、三重全体の良さも分かっていただいた」と述べた。しかし、2024年の県内の外国人延べ宿泊者数は約24万人で全国37位。2025年も32位にとどまっている。2023年に予定される式年遷宮を控え、伊勢志摩地域は今後もにぎわいが予想されるが、県全体への効果をどう広げるかは、依然として課題として残っている。

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