大阪府議会定数「79→29」の大幅削減案、維新内でも異論噴出…大ロンドン参考に都構想念頭
大阪府議会定数「79→29」案、維新内で異論…大ロンドン参考 (11.04.2026)

大阪府議会定数「79→29」の大幅削減案、維新内でも異論噴出

地域政党・大阪維新の会の大阪府議団のプロジェクトチーム(PT)が今月、府議会定数を現行の79から29へ大幅に削減する案をまとめた。この案は、維新が目指す「大阪都構想」の実現を念頭に置き、英国の大ロンドンを参考としている。しかし、定数を一気に50も減らすことには、維新府議団内からも「極端すぎる」などと慎重な意見が上がっており、議論が紛糾している。

大ロンドンを参考にした定数案の背景

維新府議団は昨年4月、「新しい時代の府議会のあり方をゼロベースで見直す」としてPTを設置し、1年かけて議論を重ねてきた。PTの報告書によると、「定数29」という数字は、政治家と有権者のコミュニケーションを研究した海外の政治学者の論文に加え、大阪府(約877万人)と同規模の人口を抱える英国の「グレーターロンドン(大ロンドン)」(約900万人)を参考にはじき出された。府議団は実際にロンドンへ視察に行ったという。

自治体国際化協会のロンドン事務所によると、大ロンドンは議会の定数が25で、都市計画や経済開発、公共交通などの広域行政を担う司令塔役を果たしている。一方、日本の都道府県とは異なり、条例制定権限や教育・福祉などの行政サービスは持たない。PTに携わった府議団の一人は「大ロンドンは議員25人で仕事をこなせているので、府も29人まで減らしても大丈夫だと考えた」と説明する。

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吉村知事の意向と住民投票への動き

維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は、来年4月までの知事任期中に大阪都構想の是非を問う3度目の住民投票の実施を目指しており、今年5~6月の府・市両議会で、都構想の制度案をつくる法定協議会の設置議案が議論される見通しだ。吉村氏は6日、記者団に「法定協議会では、府にふさわしい議会のあり方や議員の数を議論してほしい」と述べ、定数削減案の検討を促した。

「定数29」が実現した場合、2020年の国勢調査に基づけば、議員1人あたりの人口は30万人超となる。これは東京都(約11万人)の約3倍、鳥取県(約1万6000人)と比べると約19倍に上り、全国的に見ても極端な水準だ。

維新内での異論と専門家の懸念

維新府議団の河崎大樹代表は10日、記者団に「人口減少の中で、将来の広域議会のあり方を考える時期だという問題意識で議論してもらった。意思決定のスピードや政策形成能力を高めることを重視する案だ」と語った。しかし、府議団内には異論も根強く、同日の非公開協議では約3時間にわたる議論が行われたものの、府議団としての案にするかどうかの結論は出されなかった。

協議後に取材に応じたある維新府議は「29にまで減らすのは早計で、府民の声を聞きながら議論を進めるべきだ」と慎重な姿勢を示した。地方議会に詳しい後藤・安田記念東京都市研究所の岡野裕元研究員は「これだけ議員を減らすと、各議員の仕事量が膨大になり、議会のチェック機能が果たせず、府民と議会の距離も遠くなる恐れがある。議員定数の決め方に正解はないが、慎重で丁寧な議論と、有権者が納得できる説明が求められる」と指摘した。

大阪都構想の経緯と今後の展望

大阪都構想は、大阪市を廃止して複数の特別区を新設する統治機構改革で、都市開発などの広域行政は大阪府が、窓口業務など身近な住民サービスは特別区が担うことを目指す。2015年と2020年に住民投票が行われたが、いずれも否決されており、維新は3度目の挑戦を計画している。

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府議団は今月下旬に代表選を行う予定で、河崎氏は「対応は新執行部に委ねたい」と述べ、今後の方針は未定だ。定数削減案を巡っては、維新内の意見対立が表面化しており、大阪都構想の実現に向けた議論の行方が注目される。