セコマ赤尾社長、物価高と道産品開発へのこだわりを語る
セコマ赤尾社長、物価高と道産品開発へのこだわり

コンビニエンスストア「セイコーマート」を運営するセコマは、自社で生産から物流、小売りまでを一貫して手がけるサプライチェーンを有し、北海道内のほぼすべての市町村に店舗を展開し、道民の生活を支えている。物価高や石油製品の供給不安など小売業を取り巻く厳しい環境の中、対策や商品開発へのこだわりなどについて、赤尾洋昭社長(49)に聞いた。

物価高騰への対応

村尾支社長:昨今のイラン情勢を踏まえた物価高や資材不足をどう捉えていますか。

赤尾社長:包材や建材、店舗や工場で使う洗剤などの化学製品について、ほぼ全ての取引先から5月以降2割以上の値上げ通知が来ています。ここ数年、食品は年3%程度の上昇が続いていましたが、さらに加速すると見ています。これらが商品価格に反映されるのは6月以降と予想されます。物価上昇から給与が追いつくまでには3年程度かかると言われ、まだ物価が落ち着いていないことを考えると、消費はより厳しくなるでしょう。袋入りインスタントラーメンの数量が伸びており、お客様の生活防衛意識が表れています。

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村尾:緊急対策は打っていますか。

赤尾:4月初めに社内に石油関連の担当部署を設置しました。石油由来の物資を中心に取引先からの情報を集約・分析しています。現在、石油由来製品は昨年並みに供給されると聞いていますが、価格はすでに上昇しているため、代替物の検討や節約方法を立案しています。

村尾:今年の大きな課題ですね。

赤尾:原価上昇分はどうしても商品価格に反映させなければなりません。ただし、お客様が必ずしも受け入れられるわけではありません。企業努力も含め、どの程度価格転嫁するかが大きな課題です。

店舗展開と差別化戦略

村尾:店舗数が1200に迫り、道内ではほぼ全住民をカバーしています。現状をどう評価していますか。

赤尾:店舗数よりも、そこにセイコーマートを利用いただけるお客様がいるかを基準に展開してきました。新規店舗でも会員カードを持つお客様の売り上げが半分を超えており、リピーターに支えられているのが特徴です。コンビニ発祥の地アメリカには今も数百のチェーンが存在し、地域ごとに強いチェーンがあります。自社の特徴を生かし、何を提供したいかを明確に打ち出し、絶対に負けない商品を持っています。全国チェーンよりも支持されるチェーンが多く存在し、当社もそうありたいです。

村尾:北海道には他のコンビニや強いスーパーチェーンもあります。差別化戦略はありますか。

赤尾:売り上げの半分以上はカード会員によるもので、利用頻度が分かります。一人ひとりの購入額と回数は顧客とのつながりを見る指標です。店舗と商品を通じてお客様に共感していただくことを大切にしています。商品部の社員には、自分が食べて感動したか、自分の子供に食べさせたいと思うか、開発商品について30分語れるかを重視するよう伝えています。他チェーンで売れているからという理由では開発しません。このこだわりをお客様とも共有したいです。

道産品へのこだわり

村尾:道産品をベースに工夫されている印象です。

赤尾:地元産品の比率を上げるという思想で商品開発をしています。担当者が北海道や茨城県の農協や生産者を回り、自治体に出向いて長期的取引を前提に素材を発掘しています。北海道や茨城にはまだ知らない素材が多く、生かしていきたいです。

レジ袋無料配布の理由

村尾:レジ袋の無料配布を続ける狙いは。

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赤尾:石油由来のプラスチック製レジ袋は2020年7月から有料化が義務付けられましたが、バイオマス素材を一定量配合した袋は対象外です。当時はコロナ禍でお客様が早いレジ作業を望んでいたため、レジ袋の確認作業を省ける対象外の袋を選びました。現在も継続し、非常に便利と好評です。今後の価格上昇次第ですが、しばらくは現在の形を続けたいです。

古紙回収と地域貢献

村尾:独自に古紙回収事業をしていますね。

赤尾:お菓子や飲料の大半は段ボールで納品されますが、昔は店ごとに処分していました。資源物なので、納品後の空いたトラックスペースに載せて回収する形で始めました。2006年からはお客様からの新聞や雑誌、引っ越しで出た段ボールも回収しています。

村尾:雑誌インタビューで「地域GDPを上げたい」とおっしゃっていました。

赤尾:北海道はアジアの食料生産基地として可能性があります。広く豊かな土地、技術、マーケットがあります。ラピダス進出による経済効果と比べて、全道に波及するという意味で食料生産にもチャンスがあると思います。当社は地域を支えるパートナーであり続けるという理念を大切にし、地域の産品を活用して店舗で販売し、道外にも販路を広げることで地域GDP向上を目指しています。生活の基盤、地域の維持につながるはずです。

村尾:最後に読者に伝えたいことは。

赤尾:セイコーマートはかなり変わったコンビニかもしれませんが、これからも地域とともに歩んでいきます。

(構成・高橋敦人)

赤尾洋昭社長プロフィール

札幌市出身。一橋大学商学部卒。1999年マツダ入社。2004年セイコーマート(現セコマ)に入社し、専務取締役、代表取締役副社長などを経て2020年4月から代表取締役社長。

セコマグループ概要

本社:札幌市中央区。北海道、茨城県、埼玉県でコンビニエンスストア「セイコーマート」を運営。2016年に社名変更。2026年4月末現在の店舗数は1197店で、北海道が1095店。道内179市町村のうち175市町村にグループ店舗を展開し、道内人口カバー率は99%に上る。

災害時の物資支援強化

2018年9月の胆振東部地震では、セコマは道と厚真町など8市町におにぎりや飲料水、菓子など計約20万個を提供。被災地支援を強化するため、自治体や企業と「災害時連携協定」を結んでいる。協定に基づき、災害時の物資供給について窓口を事前に決定。締結自治体は道内68市町村。災害時には電話一本で物資を届ける体制を整えている。赤尾社長は「災害発生から1日目と2日目の物資支援は非常に重要。迅速に対応するため、協定は大きな意味がある」と語る。

またセコマは、次世代教育のための職場体験も受け入れている。小中学生を中心に、店舗での挨拶練習、清掃、バックヤードの在庫整理、POPの入れ替えなどの体験メニューがある。

対談を終えて

セイコーマートの店舗では、1部売りの新聞を大切に扱っていただいている印象がある。赤尾社長は「新聞を読むと興味のない情報が入ってくる。これが大事。自分の興味と異なる知識がヒントになり解決できることがある。新聞を開いて情報を得ることがどこかで役に立つ」と答えた。多様な記事が網羅された新聞の「一覧性」の効用について、的確な指摘だと思う。

セコマ前社長の丸谷智保会長も、著書「あすへの話題」(亜璃西社)で、「公器としての矜持と、一定の文字数でまとめる読みやすさ。しかも、しっかり裏を取って書く――。こうした『文化』を守るための基準があるからこそ、ネットニュースやSNSの真偽をチェックでき、暴走を食い止められる」と記す。

1971年に1号店が開業した「日本で現存する最古のコンビニ」とされ、幾多の困難を乗り越えて今日に至る。セコマのシンボルマークはフェニックスだ。新聞を取り巻く環境は厳しく、ご批判もいただく。真摯に受け止めつつ、「不死鳥」にあやかり、歯を食いしばって頑張っていかなければならない。