中大型トラックの国内シェア25%を誇る日野自動車古河工場
あらゆる貨物を運び、全国各地に届けるトラックは、国内貨物輸送量の約9割を担う物流の主役である。全国で生産される中型・大型トラックの4台に1台は、茨城県古河市で製造されている。国内シェア(市場占有率)で25%を占める日野自動車(本社・東京都日野市)の古河工場を訪れた。
1日約100台、年間2万5000台を生産
組み立てられたトラックが、5分に1台のペースで工場から次々と走り出していく。車体の「フレーム」、左右の車輪をつなぐ「車軸」、運転席部分などは古河工場で製造され、他の工場で生産されたエンジンや変速機などの部品を取り付けて、1台のトラックが完成する。現在、1日約100台、年間約2万5000台を生産しており、そのうち国内向けが7割、残り3割は海外に輸出されている。
古河工場は約85ヘクタールの敷地に、延べ床面積約16ヘクタールの建物を有し、2012年5月に開業した。老朽化して手狭になった日野工場に代わる、世界戦略のグローバルマザー工場として、2017年から本格生産が始まった。大小様々な部品が組み上がり、1台のトラックが完成するまでの工程は「ものづくり」を学ぶのに適していると評価され、昨年は県内外から小学校58校の児童が見学に訪れた。
敷地の歴史と地域経済への貢献
古河工場の敷地の大部分は、戦前から戦後にかけて国際電気通信が海外に向けて電話やラジオの電波を発信していた「名崎送信所」の跡地である。終戦を告げる昭和天皇の「玉音放送」も、ここから在外邦人向けに流された。茨城県開発公社が2008年にこの土地を取得し、企業誘致を進めた結果、日野自動車が工場建設を決定し、日野工場で担っていた車体組み立てを移管した。
経済産業省の統計によると、工場の本格稼働により、2016年に7150億円だった古河市の製造品出荷額等は、2018年には1兆3141億円に上昇し、県内2位となった。敷地内の関連会社を含め、約2500人の雇用が創出された。
地域との交流活動
地域との交流も盛んに行われている。敷地内の豊かな緑を楽しんでもらおうと、毎年7月に「夜の昆虫観察会」を開催。昨年は約210人が参加し、日が暮れた林でカブトムシやクワガタを捕まえたり、草むらでバッタを追いかけたりした。隣接する市立名崎小学校の6年生は、2022年から卒業記念に工場敷地内でサクラを植樹しており、2年生は毎年6月にビオトープでメダカやドジョウを放流している。
同社のラグビーチーム「日野レッドドルフィンズ」は、タックルがない安全な「タグラグビー」を名崎小で指導している。3月に同社と古河市が包括連携協定を結んだことにより、他の小学校にも指導を広げる予定だ。
針生貴裕工場長は「地域経済の活性化に社員が一丸となって取り組み、地域と共に成長する工場を目指したい」と語った。
(メモ)日野自動車古河工場(古河市名崎1)は圏央道境古河インターチェンジから車で約15分。見学は原則として学校のみ受け付けており、日野自動車のホームページから申し込む。所要時間は約40分で無料。見学時間などの問い合わせは古河工場(0280・51・1117)。



