遺伝子治療薬「エレビジス」が国内最高額3億円で保険適用、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に新たな光
筋肉が徐々に動かなくなる難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の遺伝子治療薬「エレビジス」が、3億497万円という国内最高額の薬価で、2月20日から公的医療保険の適用対象となることが決定しました。厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会が2月13日に了承し、3歳以上8歳未満で歩行可能な症状の患者を対象とします。
患者の切実な声に応える早期適用
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下を特徴とする遺伝性疾患で、患者や家族からは早期の保険適用を求める声が強く上がっていました。厚生労働省は、この治療薬の投与患者数を最大で年間37人と見込んでおり、限られた対象者に対して希望をもたらすものと期待されています。
エレビジスは、中外製薬が昨年5月に厚生労働省から3年間の期限付きで製造販売の承認を得た薬剤です。点滴によって人工的な遺伝子を投与し、筋肉の維持に必要なタンパク質を体内で産生させる仕組みで、投与は1度で済むことが特徴です。長期的な運動機能の改善が期待されており、画期的な治療法として注目を集めています。
安全性への懸念と対策
しかし、海外では投与を受けた歩行できない患者が急性肝不全で死亡する事例が2件判明しており、安全性への懸念も指摘されています。中外製薬は「継続的に安全情報を収集し、必要に応じて追加対策を取る」と表明しており、慎重なモニタリングが求められる状況です。
患者の自己負担は、年齢に応じて薬価の2割から3割となりますが、負担額に上限を設ける高額療養費制度などの医療費助成も利用可能です。これにより、経済的な負担を軽減し、より多くの患者が治療を受けやすくなる環境が整えられています。
今回の保険適用は、遺伝子治療の新時代を切り開く重要な一歩であり、難病と闘う患者や家族にとって大きな希望となるでしょう。今後の臨床データの蓄積と安全性の確保が、治療の普及に向けた鍵を握っています。