「ノルマ全廃」した西武信用金庫が見つめ直した原点
東京・中野区に本店を置く西武信用金庫が、金融業界の常識を覆す経営で注目を集めている。「人を大切にする経営学会」の坂本光司会長が同信金を訪れ、その取り組みを取材した。
成長優先から原点回帰へ
西武信用金庫は1969年に設立。預金量は約2兆2000億円で全国254の信金中16位だが、高橋一朗理事長は「規模は追っていない」と明言する。5年前に成長優先路線を捨て、数値目標を全廃したという。
代わりに重視するのは、融資先の中小企業の売上増加と黒字化支援だ。全国の中小企業の約7割が赤字とされる中、同信金の融資先は逆に約7割が黒字を達成している。
営業担当からコーディネート担当へ
同信金の特徴的な施策の一つが、営業担当の肩書を「コーディネート担当」に変更したことだ。中小企業の技術やノウハウを尊重し、専門家の紹介や地域の中小企業診断士との連携を積極的に行っている。
また、創業100年超の企業を組織化した「西武100年企業の会」や、女性経営者を支援する「女性後継者の会」など、多彩な支援策を展開。専門家派遣は原則3回まで無料で受けられる。
共生社会への取り組み
同信金は、障がいのある人もない人も互いに認め合う共生社会の実現にも力を注ぐ。障がい児キッズモデルのいわいあおいさん(9)を「みらい大使」に任命し、啓発活動を推進。あおいさんは「夢は西武信金の本当の職員になること」と語る。
坂本光司氏の評価
坂本氏は「業界では非常識と言われる経営を真剣に実行している」と高く評価。数値目標の代わりに「人に地域に未来に優しい金融機関」という中期ビジョンを掲げ、収益の1%を地域課題解決に取り組むNPOなどに寄付する姿勢を称賛した。
また、60歳以上の支店長が12人在籍し、65歳以上の継続雇用率が80%を超えるなど、高齢者雇用にも積極的。女性登用では学歴や支店長経験の要件を撤廃し、3人の女性理事を誕生させている。



