栃木で小学生姉妹が発見!世界最大級のセミ全身化石、土産用岩石から
小学生姉妹が世界最大級のセミ全身化石を発見

栃木で小学生姉妹が世界最大級のセミ全身化石を発見

栃木県那須塩原市にある博物館「木の葉化石園」で土産用として販売されていた岩石から、極めて希少なセミの化石が発見された。この化石は全長62ミリと世界最大級のサイズを誇り、ほぼ全身が完璧な状態で保存されている点が特筆される。世界で確認されているセミの化石はわずか45種のみで、多くは羽などの断片的なものに限られるため、全身化石の発見は学術的に非常に貴重な事例となった。

小学生姉妹の鋭い観察眼が大発見に

発見者は東京都東久留米市に住む小学5年生の四ノ宮麻帆さん(11歳)と同2年生の由乃さん(8歳)の姉妹である。母親が博物館から取り寄せた岩石を2人が割ったところ、頭部に相当する化石の一部が現れた。当初は何の化石か判別できなかったため、昆虫化石の専門家である相場博明さん(67歳)=慶応義塾横浜初等部非常勤講師=に連絡。詳細な調査の結果、腹部や羽を含む全身が岩石中に保存されていることが明らかになった。

四ノ宮姉妹は、母親が収集する化石を見て「生き物が石になる不思議」に興味を持ち始めたという。2人は「最初はこれまでに見た植物化石と違っていて、何だろうと思いました。大発見が夢だったので、こんなに早く実現して本当にうれしい」と喜びを語っている。姉の麻帆さんは将来、研究職に就くことを夢見ている。

学術的に極めて重要な発見

この発見は、相場さんが所長を務める教育実践学研究所によって発表され、2月5日付で日本古生物学会のオンライン版国際誌に論文が掲載された。セミは成虫としての期間が短く、比較的大きな体を持つため鳥などに捕食されやすく、化石として残りにくい昆虫として知られている。

化石が含まれていた岩石は、塩原温泉郷付近に分布する第四紀更新世の塩原湖成層(約30万年前)から掘り出されたもの。「木の葉石」で著名なこの地層では、葉の葉脈の細部まで保存状態の良い化石が多数発見されることで知られる。当時、土砂が流入した湖は低酸素状態であり、温泉の熱が特殊な環境を形成したと考えられ、こうした条件が化石の良好な保存に寄与したと推測されている。

進化の謎を解く手がかりに

発見されたセミの化石は、現在も国内に生息するアカエゾゼミに類似しているが、羽の形状や模様には明確な相違点が確認されている。相場さんは「この化石はエゾゼミ属の祖先的な形態を示している可能性が高く、更新世の時代に同属のセミが多様化したという仮説を裏付ける強力な証拠となり得る」と指摘している。

この発見は、単に珍しい化石が見つかったというだけでなく、日本列島の古環境や昆虫の進化史を理解する上で重要なデータを提供するものとして、古生物学界で大きな注目を集めている。地域の博物館が販売する土産品から、小学生の好奇心によって世界的な発見がもたらされたという経緯も、科学教育の意義を改めて考える機会を与えている。