抗体に繰り返し働く機能を付与、少量で効果持続し自宅投与を実現
抗体に繰り返し働く機能を付与、少量で効果持続

抗体に繰り返し働く機能を付与、少量で効果持続し自宅投与を実現

2026年5月26日、公益社団法人発明協会が主催する全国発明表彰において、中外製薬が開発した「リサイクリング機能を付与した抗体の作製技術の発明」が今年度の恩賜発明賞に選ばれたことが発表された。この発明は、抗体医薬の分野で革新的な進歩をもたらすものとして高く評価されている。

受賞者と発明の背景

受賞者は、中外製薬の井川智之さんと石井慎也さん、理創考房の前田敦彦さん、DiveRadGelの中井貴士さんの4名。彼らは、がんや自己免疫疾患の治療で広く使用されている抗体医薬の課題に着目した。従来の抗体は、病気に関連する分子(抗原)に結合すると、そのまま細胞内に取り込まれて分解されてしまう。そのため、一つの抗体は一度しか働くことができず、治療には大量の投与が必要で、患者は点滴のために頻繁に通院しなければならなかった。

リサイクリング機能の画期的な仕組み

井川さんらは、抗体が繰り返し働ける「リサイクリング」機能を付与する技術を開発した。この機能により、抗体は抗原と結合した後、細胞内で分解されることなく再び血中に戻り、別の抗原と結合できるようになる。その結果、少量の投与でも長期間効果が持続し、患者は自宅で皮下投与が可能となる。発明の鍵は、pH(水素イオン濃度)の変化を利用して抗体の結合を制御する点にある。具体的には、酸性環境下で抗原との結合が弱まるように設計することで、細胞内での分解を回避し、リサイクリングを実現した。

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今後の展望と医療への影響

この技術は、抗体医薬の効率を大幅に向上させるだけでなく、患者の生活の質(QOL)を改善する可能性を秘めている。中外製薬は、この技術を応用した新たな治療薬の開発を進めており、近い将来、臨床応用が期待されている。恩賜発明賞の受賞は、日本の創薬技術の高さを世界に示すものとなった。

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