栃木県下野市は29日、6月から7月にかけて実施する市職員の新卒採用試験(早期枠)に、人工知能(AI)を活用した面接システムを導入すると発表した。受験者はスマートフォンやカメラ付きパソコンを通じてAIの質問に音声で回答し、AIがその内容や話し方、表現の特徴を分析。その結果を職員による面接の参考資料として活用する。下野市によると、県内の自治体では初めての導入事例となる。
AI面接システム「SHaiN」の概要
導入されるのは、人事コンサルティング企業「タレントアンドアセスメント」(東京都港区)が開発したAI面接システム「SHaiN」だ。このシステムは、受験者の回答内容だけでなく、語調や表情、表現の特徴などを多角的に解析し、人間性をより総合的に評価できる点が特徴。従来のペーパーテストでは測りきれなかったコミュニケーション能力や思考の柔軟性などを把握することが可能となる。
試験の流れと選考プロセス
下野市の採用試験では、まず筆記試験と書類選考による1次試験を実施。その合格者を対象に2次試験の中でAI面接を行う。受験者は自宅など任意の場所からAIの質問に回答し、市はAIが生成した分析結果を手元資料として活用しながら、職員による個別面接を実施。その後、3次試験の個別面接を経て最終合格者が決定される。
採用枠と応募状況
早期枠の募集人員は5人で、応募者数は127人に上る。また、9月に予定されている通常の採用試験でも同様にAI面接を導入する方針だ。
DX推進の一環として
今回のAI面接導入は、下野市が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進施策の一環である。これまで採用試験で行われていたペーパー形式の適性検査を、対話型のAIに置き換えることで、評価の質を高める狙いがある。市総務人事課の担当者は「人間の面接では時間的な制約があり、客観的な分析が難しい面があった。AIの活用は、受験者の人間性を総合的に判断する上で有効な補助手段となる。ただし、合否の最終判断はあくまで職員による面接で行う」と説明している。



