岸田文雄首相は29日、人工知能(AI)に関する規制法案を今国会に提出する方針を明らかにした。首相は首相官邸で記者団に対し、「AIの急速な発展に伴い、安全性の確保とイノベーションの促進を両立するための法的枠組みが必要だ」と述べ、国際社会におけるルール形成を主導する考えを示した。
法案の概要と狙い
政府関係者によると、同法案はAIの開発・利用に関する基本原則を定め、リスクの高いAIシステムに対する規制を強化する内容となる。具体的には、AIによる差別やプライバシー侵害を防ぐための透明性確保や、説明責任の義務付けなどが含まれる。また、国際的な整合性を重視し、欧州連合(EU)のAI規制法などとの調和を図る。
首相は「AIは経済成長や社会課題の解決に大きな可能性を秘める一方、悪用されれば人権侵害や安全保障上のリスクを生む。日本が先頭に立って国際的なルールを整備し、信頼できるAIの普及を目指す」と強調した。
与野党協議と今後のスケジュール
政府は与党との調整を進めており、今国会での成立を目指す。野党側からは「規制の実効性や監視体制の在り方についてさらに議論が必要だ」との声も上がっており、今後の与野党協議が焦点となる。首相は「丁寧な議論を重ね、国民の理解を得ながら進めたい」と述べた。
AI規制を巡っては、EUが世界初の包括的な規制法を成立させるなど、国際的な動きが加速している。日本もこれに追随し、ルール作りで主導権を握りたい考えだ。専門家からは「規制が強すぎるとイノベーションを阻害する懸念がある」との指摘もあり、バランスの取れた制度設計が求められる。
政府は法案の詳細を今後詰め、早期の国会提出を目指す。法案成立後は、関連するガイドラインの整備や国際協調の推進にも取り組む方針だ。



