綾辻行人「時計館の殺人」ドラマ化、本格ミステリーの新たな挑戦
綾辻行人「時計館の殺人」ドラマ化、本格ミステリー挑戦

綾辻行人「時計館の殺人」が実写ドラマ化、本格ミステリーの新たな幕開け

推理小説界に新たな潮流を生み出した綾辻行人の「館」シリーズ。その屈指の人気作である第5作「時計館の殺人」が、実写ドラマとして映像化される。動画配信サービス「Hulu」にて、2026年2月27日から前編の1~6話が配信開始され、後編の7、8話は3月20日に公開される。前作「十角館の殺人」から2年を経て、再びバディを組む奥智哉と青木崇高が、複雑な謎と陰惨な連続殺人に挑む。

キャストの熱意と役への没入

前作で孤島の殺人事件を追った“ワトソン”役の江南を演じる奥智哉は、今作では編集者として成長し、時計館に足を踏み入れる当事者となる。奥は「前作を超えている自信がある」と断言し、撮影では江南の極限の心理状態を理解するため、椅子で1時間寝ただけで現場に向かうなど、役作りに没頭したエピソードを明かす。一方、探偵役の鹿谷を演じる青木崇高は、「映像化不可能と言われた『十角館』の反響が続編につながり、喜びを感じた」と語る。鹿谷の好奇心に駆られた風来坊ぶりを保つため、監督の細かいチェックを受けながら演技に臨んだ。

制作陣のこだわりと館の再現

ドラマでは、原作に描かれた時計館のリアリティーを徹底的に再現。100個以上の時計を集め、館内の幻想的な雰囲気を創り上げた。奥は「世界観にすんなり入り込め、芝居もしやすかった」と制作陣の努力を称賛し、青木も音響の精密さに驚きを隠さない。また、原作のエピソードはほぼカットせず、伏線を丁寧に拾い上げ、視聴者にわかりやすく伝える工夫が凝らされている。画面の端に館の平面図を表示するなど、小説の利点を活かした演出も見所だ。

原作者の喜びと作品への思い

原作者の綾辻行人は、映像化について「細部まで極力大事にしようとする原作愛が伝わってきて、幸せな作品になった」と喜びを語る。35年前に執筆した「時計館の殺人」は、自身の持てるものを全て詰め込んだ作品であり、日本推理作家協会賞を受賞するなど、新本格ミステリーの確立に貢献した。綾辻は、キャストの演技にも深くうなずき、奥演じる江南の「かわいらしさ」や青木演じる鹿谷の「ぎりぎりのラインをキープした大人なのに子供っぽさ」を高く評価する。

新本格ミステリーの進化と挑戦

「十角館の殺人」でデビューし、新本格ムーブメントを牽引してきた綾辻行人。今回のドラマ化は、複雑なトリックと哀しいドラマが融合した「時計館」を、新たな形で蘇らせる試みだ。奥と青木は、謎解きの面白さを強調し、「解けるものなら解いてみろ」と視聴者に挑発するほど自信を見せる。生成AIが発達する時代にあっても、実物の時計を集めて撮影するなど、手作りのこだわりが光る作品となった。

いよいよ謎がベールを脱ぐ瞬間が近づく。本格ミステリーの魅力が詰まった「時計館の殺人」は、推理小説ファンだけでなく、新たな視聴者にも衝撃を与えることだろう。