原油価格高騰で漁業・農業に打撃 福島県内の現場から不安と期待の声
原油高で漁業・農業打撃 福島県内の現場から不安と期待

原油価格高騰が福島県内の漁業・農業に深刻な影響

米国とイランが2週間の停戦で合意したことを受け、原油価格高騰の影響を受ける福島県内の漁業者や農業者からは状況の改善に期待が広がる一方、「停戦で元に戻るのか」などと不安の声も上がっています。国際情勢の変化が地域の一次産業に直接的な打撃を与えている現状が浮き彫りになりました。

漁船の燃料代が年間150万円以上増加の見込み

「まさか停戦合意になるとは予想もつかなかった。とにかく良い方向に進んでほしい」。相馬市の底引き網漁師である松本浩一さん(71)は、原油価格の回復を強く求めています。松本さんは原釜機船底曳網船主会長も務めており、現場の声を代表する立場です。

漁船の燃料となる重油の価格は、これまで1リットルあたり110円程度で推移してきました。しかし、4月に入り120円を超えるまでに急騰しました。1回の漁での消費量は約1300リットルに及び、現在の高値が継続すれば、燃料代負担は年間で150万円以上の増加が見込まれています。

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「これだけ重油が高くなるのは初めての経験だ」と松本さんは語ります。エンジンの回転数を低くして燃料代を節約する方法もありますが、「帰港が遅くなり競りに間に合わなくなるため、容易にできない。漁師は魚を取ってなんぼの世界です」と説明します。操業開始時間が決まっているため、出漁を早めることも難しい状況です。

農業でも燃料費と資材費の高騰が経営を圧迫

「早く平和に戻ってほしい」。約20ヘクタールの田んぼで稲作を行う天栄村の内山耕一さん(52)は、農機の燃料費高騰に頭を悩ませています。「燃料費は例年と比べておよそ1.3倍に跳ね上がった。これから田植えの時期を迎え、さらに多くの燃料を消費することになる。いつまでこの状況が続くのか、先行きが不透明だ」と不安を口にします。

内山さんは自身でコメを販売しており、梱包などの資材費の値上がりも懸念材料です。伊達市でモモやリンゴを栽培する伊達水蜜園の佐藤佑樹社長(41)も同様の悩みを抱えています。「停戦合意は取りあえずの一歩だが、そこからどうなるのか、不安は拭いきれない」と語ります。

佐藤社長は3月に資材店から、モモを包装するフルーツキャップが手に入らないかもしれないとの連絡を受けました。7月に収穫時期を迎えるモモ「あかつき」の包装資材は在庫があるものの、8月以降は用意できない可能性があるといいます。同月中旬に実る「あぶくま」「くにか」など11種類を育てていますが、包装資材がないとインターネット販売での発送が困難になります。

「ネット販売を取りやめると、売り上げ全体の2、3割に支障が出る。石油や原油が安定して手に入る状態に早く戻ってほしい」と佐藤社長は切実に願っています。

医療資材の供給にも影響が及ぶ懸念

県医師会の石塚尋朗会長は、石油製品ナフサの不足が医療資材の供給に及ぼす影響を強く懸念しています。「業者側は緊急運用が始まっており、頼んでもなかなか来ない、あるいは前に頼んだものがキャンセルされてしまうといった状態が出てきている」と現状を説明します。

石塚会長は「停戦合意により2週間の猶予は得られたが、半年後、1年後に今の状態が跳ね返ってくる可能性がある。医師会や医療機関としても対応していかなくてはいけない。各医療機関の意見を聞きながら、どう動くべきか考えていきたい」と述べ、長期的な視点での対策が必要だと強調しました。

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専門家は海峡開放による安心感に期待

とうほう地域総合研究所の木村正昭氏は、ホルムズ海峡の開放によって今後、順調に経済が回っていくという安心感が広がることに期待を寄せています。「動向を注視したい」と語り、国際情勢の変化が地域経済に与える影響を慎重に見守る姿勢を示しました。

福島県内の漁業者や農業者、医療関係者らは、原油価格の安定を切に願いながら、日々の業務に取り組んでいます。停戦合意が一時的なものに終わらず、持続的な平和と経済の回復につながることが期待されています。