鹿児島・高隈山の登山道整備に尽力 江口智昭さん、環境省表彰の功労者に
長年にわたり自然歩道の維持・管理に顕著な功績を挙げたとして、鹿児島県鹿屋市の江口智昭さん(70)が昨秋、環境省が表彰する自然歩道関係功労者に選出されました。大隅半島を代表する高隈山の登山道整備に取り組む思いや、登山の魅力について、江口さんに詳しく聞きました。
高隈山とはどのような山か
江口さんによると、高隈山は鹿屋市と垂水市に連なり、大隅半島の中央部に位置しています。鹿児島県内では屋久島や霧島に次ぐ第3の高山群として知られ、標高1000メートルを超える峰が七つあります。自生する温帯植物のブナやミズナラは国内の南限にあり、植物学者が調査に訪れるほど貴重な山でもあるとのことです。
登山道整備を始めたきっかけ
江口さんは高隈山に何度も登っていましたが、昔からあった登山道に草が生い茂り、倒木が塞いだ状態が続いていることに気になっていました。15年ほど前、高隈山に精通した登山者たちが江口さんのショップを訪れ、話すうちに皆が同じ思いを抱いていることに気づきました。最初は沢に架かる腐った橋を架け替えることから始め、その後、5人の仲間とともに毎月2、3回は山で登山道の整備を続けるようになりました。
高隈山に興味を持った理由
自宅からいつも見える山でしたが、中学生の時に友人と一緒に登ったのが初めてだったそうです。山頂からは桜島や屋久島、霧島連山が見え、そこに行かないと見られない景色に感動しました。高隈の名を冠した植物があるのも魅力で、高山植物が咲く9月中旬がおすすめの時期だと語っています。
活動を続けて良かったこと
登山道にポリ袋やたばこの吸い殻が落ちていると、せっかく訪れても残念な気持ちになると江口さんは指摘します。登山者には気持ち良く登ってほしいし、安全で安心した気分にもなってもらいたいと考えています。清掃や整備をしていると、すれ違う人から感謝されることもあり、それが活動の励みになっているそうです。
以前、分岐点に立て看板を設置する作業をしていた際、帰る方向がわからずパニックに陥っていた中年男性を助けたことがありました。片道2時間ほどで登れる山であっても、登山ルートを把握するなどの事前準備は非常に重要だと強調します。アウトドアが人気となり「山ガール」も増えていますが、高隈山を安心して楽しめるよう登山道の整備を今後も続けていきたいと語りました。
取材を終えて
近年、手軽に楽しめる運動として登山の人気が高まっています。一方、全国で山岳遭難の数は増え続けており、遭難者の半数以上は60歳以上という現状があります。ベテランの江口さんでさえ、宿泊を伴う登山はルートの選定など約1か月の準備を要すると言います。今月28日には高隈山で山開きも行われますが、大きな事故がないようにと願う江口さんらの活動を、登山者に広く知ってほしいと感じました。
江口智昭さんプロフィール
- 鹿屋市出身。
- 大学卒業後、大阪市でアパレルの仕事に従事。
- 30歳代半ばで地元に戻り、中心商店街の一角でアウトドアショップ「キャメル」を営む。
- 若い頃は南アルプスの山々を登り、ロッククライミングにも挑戦。
- 高隈山は少なくとも1000回は登ったという。