木曽川鵜飼、鵜匠退職で出船数半減 週休2日確保へ働き方改革着手
愛知県犬山市の重要な観光資源であり、1300年の歴史を誇る伝統行事「木曽川鵜飼」において、鵜匠の退職が相次いでいる問題で、市は21日、今シーズンの運航体制を明らかにした。6月1日から10月15日までのシーズン中、1回あたりの出船数を昨シーズンの最大2隻から1隻に減らす方針を決定。昼夜1日2回の運航は維持するが、観覧船から鵜飼を楽しむ観光客は、鵜舟が絞り込まれるため、少し離れた場所から眺める時間を設けることになる。
鵜匠の退職で人員半減 新規募集に14人応募も課題山積
木曽川鵜飼は市の無形民俗文化財に指定されており、鵜匠が鵜を操りアユなどを捕る様子を、観光客が鵜舟の周りの観覧船から鑑賞する趣向だ。昨シーズンは昼最大5隻、夜6隻の観覧船を運航し、約1万7千人が乗船した。しかし、市職員として雇用されている鵜匠は、昨年度当初の4人から年度末までに2人が退職し、現在は半数の2人に減少。退職理由はいずれも「一身上の都合」とされている。
市は今年3月から4月にかけて鵜匠を募集し、20代から30代の14人から応募があった。今後面接を実施し、7月1日付で若干名を採用する予定だ。しかし、新たな鵜匠の採用は7月となるため、当面は前年度の半分の2人で鵜舟の出船を担わなければならない状況が続く。
週休2日確保へ業務見直し 体調管理を重点方針に
市が本年度の重点方針として掲げるのは、鵜匠の体調管理だ。鵜匠の勤務は、昼夜両方の出船に携わる場合、朝の餌やりから昼鵜飼の準備と出船、昼休憩を経て夜鵜飼の準備・出船まで、拘束時間が長くなりがちである。昨シーズンの鵜匠の休日は1週間あたり1.5日から2日程度で、週休2日を確保できないこともあった。
今シーズンは、シフトの見直しと出船数の絞り込みにより、原則として週休2日以上の確保を目指す。具体的な業務の見直しにも着手しており、市観光課の事務職員が餌やりや掃除などに関わるようになるなど、これまで鵜匠が担っていた鵜の世話を含め、仕事全体の再構築を進めている。
後継者問題が深刻化 計画的な人材確保が急務
鵜匠の後継問題は以前から市議会で指摘されていた。2023年3月の一般質問では、市側が「十数年後には3人の男性鵜匠が同時に定年退職となる。複数の後継者を計画的に確保していく必要があり、遅くとも5年程度の間に人員を確保する方針やめどをつけていく必要がある」と答弁していた。しかし、実際には定年退職より早い退職者が続き、対応を迫られる事態となった。
市の幹部は「鵜飼の業務は鵜匠に委ねるところが多かったが、事務職員を含めてより多くの人員で担っていくことが大切だ。休みをきちんと取れるように働き方改革を進めていくことで、将来を含めた人材育成につなげることが必須である」と強調。伝統行事の存続に向け、働き方改革を通じた人材定着策が急務となっている。
木曽川鵜飼は、観光客に歴史と風情を伝える貴重な文化資源として、その継承が課題となっている。市は業務効率化と労働環境の改善を両輪に、伝統の灯を絶やさぬよう取り組みを加速させる構えだ。



