埼玉県秩父市の奥秩父山中に位置する三峯神社へ通じるロープウェイ「三峰ロープウェイ」の復活構想について、秩父市と秩父鉄道は27日、記者会見を開き、建設費の試算を含む調査結果を公表した。技術的には復活が可能であるとしながらも、高額なコストなどから採算性のハードルが極めて高いことが明らかになった。両者は今後、関係者による協議体を設置し、復活に向けた検討を継続する方針だ。
三峰ロープウェイの歴史と現状
秩父鉄道が運営していた「三峰ロープウェイ」は、三峰山の標高1100メートルにある三峯神社への参拝者輸送を目的に、1939年に運行を開始した。しかし、1965年に観光道路が整備されたことで利用者が徐々に減少。ピーク時の年間34万8千人から、2003年には約5分の1にまで落ち込み、2007年に廃止された。
近年、2013年から販売が始まったお守りの人気を背景に参拝者が増加し、周辺道路の渋滞が地域の課題となっている。また、災害時の代替ルートとしても活用できることから、ロープウェイ復活の構想が浮上した。
調査結果の詳細
今回の調査では、かつての出発地点だった大輪駅周辺、道の駅大滝温泉、秩父鉄道の終点・三峰口駅の3地点を出発点とするルートを検討。専門業者が現地の地形などを調査した結果、技術的にはいずれのルートも建設可能と判断された。
一方、建設費は65億円から100億円に上り、試算ではどのルートも採算が取れず、事業価値はマイナス30億円以上という厳しい結果が出た。利用者数を増やすための対策や、国や自治体からの補助金の積み増しなどが必要になるとしている。
関係者のコメント
秩父市の清野和彦市長は「整備できると確認できたのは一歩前進。ただ、採算面では厳しい結果が出たので、クリアできるか協議していきたい」と述べた。
事業者である秩父鉄道は、同鉄道の影森駅から三峰口駅間が利用者減少で存続が危ぶまれており、ロープウェイ復活による活性化を期待している。同区間は3年以内に存続の可否を決めることになっており、市は現状を分析する業者を公募で選び、支援方法などを探る。
秩父鉄道の牧野秀伸社長は「この区間の利用者を増やす上でも、ロープウェイは効果的な手段。厳しい調査結果が出たとはいえ、検討を続けたい」と述べた。



