彬子女王原作の漫画『赤と青のガウン』が刊行 池辺葵さんが皇室留学記に挑む
三笠宮家の彬子女王が執筆されたエッセーを原作とする『マンガ 赤と青のガウン』の第1巻が、新潮社より刊行されました。この作品は、皇族の英国留学記を漫画化したもので、漫画家の池辺葵さんがその作画を担当しています。池辺さんは、「日本の文化について描きたかった。皇室自体が日本の文化で伝統です。ぜひ承りたい仕事でした」と、このプロジェクトへの熱意を語りました。
静謐な雰囲気と細部へのこだわりが光る作画
物語は、2011年5月にオックスフォード大学での彬子女王の5年間の研究生活が節目を迎えた場面から始まります。学位授与式出席のため、黒いガウンから博士号の赤と青のガウンをお召しになる様子が、深い眼差しとともに描かれています。作中には、教員や学友たちとの交流、研究に真摯に向き合う姿が丁寧に表現され、静謐で引き締まった雰囲気が漂っています。
池辺さんは、背景を含めたすべての作画に心を配り、英国の大学構内や街並みを主な舞台として描いています。彬子女王から送られた在学時の写真を参考にし、建造物の絵は定規を使わずフリーハンドで仕上げています。建物の表層や屋根、窓枠、レンガや石畳などの細部まで自然な筆遣いで表現され、キャラクターと同様に静かな存在感を放っています。アシスタントを使わず、アナログ手法で一人で仕上げるというこだわりも見られます。
新しい挑戦と彬子女王との出会い
池辺さんは2009年にデビューし、『繕い裁つ人』などで人の心の機微を温もりのある筆致で描いてきました。2014年には『どぶがわ』で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞しています。「自分のオリジナリティーだけで勝負してきた」と振り返る池辺さんにとって、彬子女王の作品を漫画化することは新たな挑戦でした。
連載にあたり、彬子女王とお会いする機会があった池辺さんは、「私はとても緊張していましたが、お話しさせていただくとおおらかな方でした。安心して対話をさせていただき、大好きになりました。入りすぎた肩の力が、ほどよく抜けました」と語ります。漫画化に関して、彬子女王からのご要望は基本的になかったそうで、池辺さんは「できるだけ原作に沿って、描いています」と話しました。
作品への思いと読者へのメッセージ
彬子女王のエッセーには、留学を通じて感じられた寂しさや喜びがつづられています。池辺さんはこれについて、「私が想像できる範囲以上のものがある」と述べ、「そこに追いつく努力が必要になる。その意味で、『自分を超えていける作品』という感覚があります」と、創作への意欲を語りました。
また、読者には「女王殿下のまっすぐな視線の素晴らしさを味わってほしい」と呼びかけています。累計43万部のエッセーを原作とするこの漫画化プロジェクトは、日本の文化と伝統を深く掘り下げる作品として、多くの注目を集めています。



