平安末期の焼損仏像「焼けぼとけ」、最新3D技術で立ち姿に復元
奈良県葛城市の当麻寺中之坊に古くから伝わる仏像「焼けぼとけ」が、最新の3D技術を活用した修復作業を経て、「焼損菩薩立像」として新たな姿を現した。この仏像は13日から、中之坊霊宝殿で一般公開されることになった。これまで脚部の破損により寝かせた状態で安置されていたが、修復により自立が可能となり、約800年ぶりに立ち姿で拝観できるようになった。
松村貫主の願いと修復の決断
10日に中之坊で開催された報道向け説明会で、松村實昭貫主は「本来の優美な姿を想像してもらえるようになった」と喜びを語った。焼損菩薩立像は高さ92.1センチで、ケヤキと推定される木造の仏像。平安時代の作とみられ、平安末期の南都焼き打ちで焼損したという伝承があるが、詳細な経緯は明らかになっていない。
これまで中之坊では、仏間の隅に立てかけたり、霊宝殿に寝かせたりして保管してきた。しかし、松村貫主が「直立した状態で拝んでいただきたい」との強い思いから、修復を決断。このプロジェクトは、仏像の歴史的価値を現代に蘇らせる試みとして注目を集めている。
3D技術を駆使した精密な修復作業
修復作業は、県立大学の山田修教授が3D技術で形状を計測し、同大学客員研究員の宮木菜月さんが担当した。仏像内の空洞にステンレス製の支柱を挿入し、複雑に破損した脚部にぴったり合うヒノキ製の受け座と、ケヤキ製の台座で固定する手法が採用された。
宮木さんは「3D技術ならではの修復方法で、曲線美を損なうことなく直立させることができた」と説明。この技術により、仏像の繊細な造形を保ちながら、安定した展示が可能となった。修復過程では、伝統的な技法と先端技術の融合が図られ、文化財保護の新たな可能性を示す事例となっている。
一般公開の詳細と松村貫主のメッセージ
焼損菩薩立像の一般公開は7月30日まで行われ、午前9時から午後5時まで拝観可能だ。拝観料は一般500円などが設定されている。松村貫主は「それぞれに理想の菩薩様を思い描いていただければ」と語り、訪れる人々が自身の想像力で仏像の美しさを感じ取ることを期待している。
この修復事業は、歴史的遺産を現代技術で甦らせる成功例として、地域の文化振興にも貢献。当麻寺中之坊では、今後も貴重な文化財の保存と公開に力を入れる方針だ。



