両親を失った米フィギュア選手、五輪の舞台で熱演 悲劇を乗り越え20位入賞
【ミラノ=船越翔】ミラノ・コルティナオリンピックのフィギュアスケート男子競技で、日本勢が銀と銅のメダルを獲得する中、昨年の米旅客機墜落事故で両親を突然失った米国のマキシム・ナウモフ選手(24)が出場し、大きな注目を集めた。元選手だった両親も立った五輪の大舞台で、ナウモフ選手は20位に入賞し、「最後まで諦めずにここまで来られたことが誇りだ」と胸を張った。
フリー演技での苦境と立ち直り
13日に行われた男子フリー演技では、開始直後から「足が沈み込むような感覚」に襲われ、最初のジャンプで転倒するという苦しいスタートを切った。しかし、ナウモフ選手はそれでも諦めず、力強いステップや持ち味を発揮して演技を立て直した。滑り終わった後には、氷上で笑顔を見せ、観客から温かい拍手と歓声を浴びた。
悲劇を乗り越えた背景
昨年1月、米ワシントン近郊で起きた旅客機と米軍ヘリの衝突墜落事故により、ナウモフ選手は旅客機に乗っていた両親を突然亡くした。深い悲しみに暮れたが、世界選手権のペアで金メダルを獲得し、五輪にも出場した両親に近づこうと、夢を諦めなかった。得点発表後には、両親と自身が写った写真を掲げ、亡き両親への思いを表現した。
特別ではない力とメッセージ
ナウモフ選手は、自分だけが悲劇の主人公ではないと考えている。「ひどい状況からはい上がったが、自分が特別なわけではない。誰もが同じ力を持っている。その力に気づくきっかけになれたらうれしい」と語る。苦境にいる人々に勇気を与える滑りを、今後も披露していく意向を示した。
この五輪でのナウモフ選手の活躍は、スポーツを通じたレジリエンスと希望の物語として、多くの観客に感動を与えている。