島原国際日本語学校で49人の留学生が巣立ち、地域との絆を築く
長崎県島原市にある島原国際日本語学校では、この春、外国人留学生ら計49人が卒業を迎えました。同学校は、単なる座学に留まらず、地域社会との活発な交流を教育の柱として掲げています。創設者であり校長を務める小渕見早さん(40歳)に、多文化共生の実践や学校の取り組みについて詳しく伺いました。
開校の背景と日本語教育への情熱
小渕さんは、9年前に結婚を機に夫の地元である島原市へ転居しました。当初は市内の教育機関で教師として勤務していましたが、新型コロナウイルスの影響で休講が続いたことをきっかけに、「自分で学校をつくろう」と決意しました。営業を終えた旅館を購入し、同僚らに声をかけてスタッフを集め、2023年10月に開校に至りました。
日本語教師を目指したきっかけは、沖縄県の出版社勤務時代にさかのぼります。日本語教師の資格取得を呼びかけるチラシを見て興味を持ち、夜間講座で資格を取得しました。24歳で出版社を退職後、沖縄の学校で日本語教師としてのキャリアをスタートさせました。学生たちとの触れ合いは楽しいものの、授業での表面的な対応に限界を感じ、早稲田大学大学院で日本語教育を学び直しました。
当時は外国人の不法滞在が社会問題となっていた時期でもあり、大学院での研究を通じて、留学生を社会構造の中でどう受け入れるべきかを深く考察しました。その結果、教室での学習だけでなく、地域に留学生の居場所を作り、生き生きと活動できる環境を整える必要性を強く認識するようになりました。島原国際日本語学校は、この理念を実践する場として設立されたのです。
地域交流を重視した具体的な取り組み
同学校では、日本語学校の活動内容を地域に理解してもらうため、積極的な交流を推進しています。学生たちには、地域の行事への参加を奨励しており、イベントでは歌や踊りを披露する機会も設けています。こうした努力の成果として、学校の卒業式には自治会長や地域住民が出席するようになり、絆の深化が感じられます。
小渕さんは、一部で外国人に対する風当たりが強い現状についても言及しました。過去の勤務先では、アルバイト先でのトラブルやごみ出しを巡る問題が発生したケースがありました。しかし、島原市の住民には温かさを感じており、留学生一人一人の顔や人柄を知ってもらうことで、地域の寛容性が高まると信じています。学校はまだ開校したばかりですが、今が多文化共生を築く重要な時期だと強調しました。
卒業生への期待と将来の展望
卒業生の多くは、都市部の専門学校へ進学する予定です。小渕さんは、これからの勉強やアルバイトで大変な時期が続くことを理解しつつ、様々な経験を積んで成長してほしいと願っています。将来的には、島原市に戻ってきてくれることを期待し、同市が就職先の候補となるよう、学校としても支援を続けていく方針です。
小渕さんは仙台市出身で、東京や沖縄の学校で日本語教師を務めてきた経験を持ちます。4男1女の母として、「子どもたちを抱きしめる時間が一番の癒やし」と語り、教育者としての情熱と家庭での温かさを両立させています。島原国際日本語学校は、多文化共生のモデルケースとして、地域と留学生の架け橋となり続けていくでしょう。



