18歳の親切な行動が高齢女性を巧妙な詐欺から守る
京都府山科区で発生した特殊詐欺被害を未然に防いだ18歳の青年の行動が、警察から高く評価されました。山科警察署は2026年3月、大阪府高槻市在住の清井亮佑さん(18歳)に感謝状を贈呈し、その親切心と正義感を称えました。
下校途中の偶然の出会いから始まった親切な行動
事件の発端は2026年2月27日、清井さんが高校からの下校途中に山科駅のホームで経験した出来事でした。80代の女性から「岸辺駅までの行き方を教えてほしい」と声をかけられた清井さんは、自身の最寄り駅と同じ方面だったため、一緒に電車に乗ることを提案しました。
電車内での世間話の中で、女性は「遠方に住む息子が今日は出張で岸辺駅周辺にいて、そこで待ち合わせをしている」と説明。山科駅から岸辺駅までは約40分かかる距離で、高齢の母親をわざわざ出張先まで呼び寄せる息子の行動に一抹の疑問を感じたものの、女性が「息子に会いたい。普段は正月くらいしか会えなくて」と話す姿を見て、2人が無事に会えるよう案内を続けることに決めました。
不審な電話対応と交番への案内
岸辺駅に到着後、女性は指定された番号に公衆電話から電話をかけるよう指示されていましたが、近くの公衆電話は使用中で、女性自身は携帯電話を持っていませんでした。そこで清井さんが自分のスマートフォンから電話をかけると、中年とみられる男性の声で応答がありました。
電話に出た男性は、いつ駅に到着するのかという質問に対し、「人の家庭のことだから話せない」とはぐらかし、そのまま通話を切断。この不自然な対応に清井さんは強い違和感を覚えましたが、女性はその場で息子を待ち続けようとしていました。
「このまま一人にしておけない」と考えた清井さんは、近くの交番まで送り届けることを決断。「交番なんか行かんでいい」と抵抗する女性に対し、「何かあった時に安心だし、待ち合わせの目印になってわかりやすい」と丁寧に説得し、交番まで同行しました。
巧妙なオレオレ詐欺の手口が判明
その後の警察の聞き取り調査で、女性がオレオレ詐欺の被害に遭っていたことが明らかになりました。詐欺師は女性の息子を名乗り、「知人女性を妊娠させた」として示談金名目で200万円を要求。さらに金融機関の窓口で高額出金を怪しまれた際には、「葬式代と言えば下ろせる」と具体的な指示まで与えていたことが判明しました。
感謝状授与と青年の思い
2026年3月30日、山科警察署で行われた感謝状授与式で、河口佳弘署長から直接感謝状を受け取った清井さんは、当時の電話対応について「すごく自然な感じで本当の息子だと思っていた」と振り返りました。警察から連絡を受けるまで、女性が詐欺の被害に遭っていることに気づかなかったと語っています。
4月から大学生となる清井さんは、「今後も困っている人がいたら助けたい」とはにかみながら今後の思いを語りました。一方、河口署長は「優しく正義感にあふれた行動に感銘を受けた。心から感謝している」と清井さんの行動を高く評価しました。
この事例は、日常のささやかな親切心が重大な犯罪被害を防ぐことができることを示す貴重なケースとして、地域社会に大きな示唆を与えています。高齢者を狙った特殊詐欺が巧妙化する中、周囲の気配りと迅速な対応の重要性が改めて浮き彫りになりました。



