茨城県のニュース「お空のみかた 予報士記者の気象雑話」では、布施谷航記者が筑波山の雲海観察記を連載中です。第3回は「真っ白」な画面と秩父との違いに迫ります。2026年6月3日07時59分公開の会員限定記事です。
筑波山での雲海観測、3カ月の軌跡
筑波山山頂のライブカメラ画像を確認しながら雲海の観察を始めて3カ月。毎朝、パソコンの画面をのぞき込んで日の出前後の様子を眺めています。画面が真っ白になったと思ったら、翌日に雲海が現れたり、薄い雲海が連日続いたり。規則性が見えるようで、まだ確信には至りません。そこで、関東有数の雲海の名所である埼玉県秩父市にヒントを求めました。
秩父市の専門家に聞く
話を聞いたのは、秩父市職員で気象予報士の富田浩充さん。秩父の町を覆い尽くす雲海の発生予報も発表しています。富田さんによると、秩父で雲海が発生するピークは10~11月ごろ。春先だと3月ごろがよく見えるそうです。
4月の秩父の雲海発生状況を聞いてみると、5日、6日に発生し、11日はきれいな雲海が見えたとのこと。筑波山の記録と照らし合わせると、11日には筑波山でもきれいな雲海を確認できました。6日にも弱い雲海が発生しており、秩父と筑波山でうっすらと共通点が浮かび上がりました。一方で5日の筑波は画像が真っ白で「観測不能」と記録されていました。
「観測不能」の謎
「観測不能」は、秩父でもあるのでしょうか。富田さんによると「雨の日や雲海がバッチリ出過ぎたとき、ライブカメラの画像が真っ白になります」。筑波山では4月に11回、5月に8回、画面が真っ白になることがありました。
「そんなにあったんですか」と富田さん。秩父では「真っ白」は限られた条件で現れますが、筑波山では頻度が高いようです。同じ「観測不能」でも、中身は違うのかもしれません。2枚の絵を見比べながら間違い探しをしているような感覚が残りました。
雲海出現の記録
雲海が見えたのは3月が8日、4月が7日、5月は5日。3カ月分の観測メモを読み返すと「空が晴れ渡って雲海が見えない」という記録がたった1日しかないことに気付きました。地上が薄い雲に覆われたり、上空の高いところに厚い雲が広がったり。毎日、何らかの形で雲が現れています。
筑波山ケーブルカーを運行する筑波観光鉄道の伊川薫さん(29)が「雲の中にすっぽり覆われている感じ」と話していたのを思い出しました。その言葉通り、「観測不能」とは、雲の中にいる状態ではないでしょうか。(気象予報士・布施谷航)



