原油価格の高騰や石油製品の供給不足が続く中、スーパーマーケットなどで食品容器として広く利用されているプラスチック製トレーのリサイクルが改めて注目を集めている。広島県福山市に本社を構え、トレー製造販売を手がけるエフピコの「九州選別センター」では、回収されたトレーをリサイクルに向けて選別する工程が日々行われている。本記事では、その現場の様子を詳しく紹介する。
九州一円から集まる使用済みトレー
5月中旬、佐賀県神埼市に位置するエフピコ九州選別センターには、使用済みトレーが詰まった透明な袋が山積みになっていた。同社サステナビリティ推進室の後谷直秀さんは「九州全域からこのセンターにトレーが集められます」と説明する。足元の袋には宮崎市内のスーパーの名称が記されており、各店舗に新品を納入したトラックが帰りに回収トレーを運び込む仕組みだ。
選別作業の実際:異物除去と色分け
作業員が袋からトレーをベルトコンベヤーに載せると、中に混ざっていた夏みかんを見つけて分別ボックスに投入する。最初の作業はガラス瓶や電池などの異物を取り除くことだ。さらに、リサイクルに適さない種類のトレーも除去された後、両面が白いものと色や柄が入ったものに分類される。作業員は集中力を保ち、黙々と選別を続けていた。
リサイクルのプロセスと環境効果
選別されたトレーは圧縮され、福山市のリサイクル工場へ輸送される。そこで洗浄や粉砕を経て熱で溶かされ、トレーの原料となる粒状のペレットに再生される。トレーに用いられる発泡スチロールは、石油由来の粒状ポリスチレンを約50倍に膨らませたもので、同社のトレーは約95%が空気で構成されている。後谷さんは「石油からポリスチレンを製造する工程では二酸化炭素が排出されますが、リサイクルでは石油由来の原料から作るよりも約37%も排出量を削減できます」と説明する。
透明容器の選別も実施
九州選別センターでは、スーパーの総菜売り場などで使われる透明なパックも機械で素材ごとに選別している。2025年度にはトレー約735トン、透明容器約105トンを選別した実績がある。後谷さんは「トレーや透明容器はリサイクル可能な資源です。環境負荷低減にもつながるので、きれいに洗って回収ボックスに入れてほしい」と消費者に呼びかけている。



