今後の営農の見通しを立てられるよう、被害を受けた生産者を技術と経営の両面から支えることが不可欠である。
県北地方の降ひょう被害、深刻さ増す
先月13日に発生した降ひょうにより、県北地方を中心に農作物の被害が深刻化している。県のまとめによれば、7市町村の計136ヘクタールで被害が確認され、被害総額は5億6550万円(速報値)に達した。これは過去10年間で、2022年5~6月の約13億円に次ぐ2番目の規模である。
2022年は県内の広範囲でひょうが降り多様な作物が被害を受けたが、今回は局地的な被害が特に甚大である点が特徴だ。中でも伊達市、桑折町、国見町の3市町の被害が大きく、被害額の9割以上をモモが占めている。県によると、果実の間引き作業を終えた生産者もおり、収穫に向けて育てていた果実や果樹の枝葉に傷がついているという。
枝葉の傷が来年の営農に影響
ひょうで傷ついた枝葉は病原菌が侵入しやすく、適切な処置を施さなければ花芽の生育が悪化し、来年の営農にも悪影響を及ぼす恐れがある。県とJAは連携し、被害の部位などに応じた適切な樹勢回復策を指導することが求められる。
収穫量の減少と多様な作物への被害
JAによると、県北地方のモモの収穫量は例年より1割程度減少する見通しで、収穫が全く見込めなくなった生産者もいる。県北地方ではこのほか、ブドウやカキなどの果実類、白河市ではキャベツや白菜、喜多方市、猪苗代町、北塩原村の3市町村ではアスパラガスの被害も確認されている。
県の支援策とJAグループの要望
県は、生産者への支援策を6月議会に提出する補正予算案に盛り込む方針だ。農薬散布など追加で必要となる作業費用の助成、経営維持に向けた融資、傷ついた作物の販売促進など、2022年の被害時に行った支援策を参考に検討を進めている。JAグループ福島は県に対し、傷のある作物の加工利用に向けた加工流通業者とのマッチング支援なども求めている。
生産者の厳しい経営状況
生産者は昨年の高温や渇水被害による販売額の落ち込みに加え、中東情勢の悪化に伴う肥料などの資材高騰にも直面しており、苦しい状況が続いている。今回のひょう被害がそれに追い打ちをかけている。
営農意欲維持へ、県の支援が鍵
被害の大きかった生産者が来年以降の作付けを断念することは避けなければならない。県は営農意欲の維持につながる支援を打ち出す必要がある。
保険加入促進も重要
自然災害による損失を補う制度として、作物ごとの農業共済や収入保険があるが、本県生産者の加入率は稲など一部の作物を除いて5割に満たない。県やJAには経営リスクの低減に向け、保険加入を促すことも求められる。



