福岡県議会が報道機関に対し、議会棟内での取材に制限を課す可能性のある通知を検討していた問題で、蔵内勇夫議長は29日、記者団の取材に応じ、「誤解を招く内容だった」と述べ、通知案を白紙撤回する意向を明確にした。
通知案の内容と経緯
通知は、県政記者クラブに加盟する新聞社やテレビ局などへの発出が想定されていた。原案では、議員から取材に関する苦情があったことを理由に、以下のようなルールを定めていた。
- 議会棟内で取材、撮影、録音を行う場合は、原則として前日までに対象となる議員の承認を得ること。
- 撮影や録音を行う際は、あらかじめ目的を明らかにし、議会事務局総務課長の承認を得ること。
この原案は議会事務局が作成し、主要4会派の議員で構成される議会運営小委員会が今月14日の会合で提示された。蔵内議長は、海外出張中の同月下旬に報道機関からの問い合わせで初めて原案の内容を把握したという。
議長の説明と撤回の意向
蔵内議長は29日午後、議会棟内で記者団に対し、今月11日に議会運営委員会の委員長に対し、議会棟内での取材ルールの検討を要請したことを明らかにした。理由については、「議会内でさまざまな意見があった」と述べるにとどめた。
その上で、「議会内のことだから、最終的には私の責任だ」と語り、通知案を白紙撤回する意向を示した。さらに、白紙に戻した上で、報道機関の助言を聞きながら再度議論するよう議運委員長に要請したと明らかにした。
記者団から取材制限や報道規制の意図があったのかと問われると、蔵内議長は「全然そんな気はない。言論の自由だし、万機公論に決すべし。報道は大事だと思っている」と強調。さらに、「蔵内勇夫が議長の間は(報道規制を考えることは)ない」と明言した。
県議や知事の反応
県議の一人は「報道規制につながる内容であり、白紙に戻すのは当然だ。何かあったときにきちんと説明責任を果たすのは議員の使命だ」と指摘した。
また、服部誠太郎知事は29日午前、「県民の知る権利が阻害されることがあってはならない。白紙の状態から報道機関と意見交換すべきだ」との見解を示しており、議長の判断を事実上支持する形となった。
今回の一連の経緯は、議会と報道機関の関係のあり方に一石を投じるものとなりそうだ。今後の議論の行方が注目される。



