名古屋地裁は2026年5月29日、詐欺罪で起訴され無罪が確定した名古屋市の会社役員の男性(63歳)が国に損害賠償を求めた訴訟で、検察官の立証行為を違法と認定し、国に110万円の支払いを命じた。男性は当初、国に550万円の賠償を求めていた。
事件の経緯
男性は2019年、虚偽の債権を担保に知人から融資金名目で3000万円を詐取したとして起訴された。第一審の名古屋地裁は2021年に有罪判決を言い渡したが、第二審の名古屋高裁で、知人と融資を仲介した弁護士とのLINE履歴が新たに明らかとなり、第一審で証拠採用された証言との矛盾が判明した。
検察官の対応
男性は2023年の差し戻し審で無罪となり、その判決が確定した。その後、男性は名古屋地検の検察官がLINE履歴を第一審判決前に入手し、起訴事実に反していると知りながら有罪の論告をしたのは違法だとして訴訟を提起した。
判決では、検察官の対応について「矛盾を容易に認識できたのに、漫然と論告をした」と国家賠償法上違法と認定。さらに「裁判所や弁護人に経緯を説明し、立証が難しい場合は断念すべきだった」と指摘した。その上で、「有罪判決を受ける危険にさらされ、実際に一度は有罪判決を受けた原告の精神的苦痛は大きい」と述べた。
地検のコメント
名古屋地検の野村安秀次席は「判決内容を精査中で、今後の対応は関係機関と協議するなどして検討したい」とコメントした。



