能登半島地震の被災地で、災害公営住宅におけるペット飼育の可否が問題となっている。石川県七尾市に住む山下照夫さん(69)は、今年2月、市役所から「猫を飼っているので災害公営住宅には入れない」と連絡を受け、入居申し込みを取り下げざるを得なくなった。
ペットと共に暮らす被災者の現実
山下さんは市内で約40年間、ちゃんこ鍋店を経営していたが、2024年元日の能登半島地震で店舗兼自宅が全壊。避難所や家族宅を転々とした後、現在は妻と娘、7歳の雄猫ルイと仮設住宅で生活している。旅館の料理人として働くが、年齢や建築費の高騰から自宅再建を断念し、災害公営住宅への入居を申し込んでいた。しかし、申し込み書類にペットの有無を記載したことが原因で、入居を拒否された。
過去の災害でも繰り返される問題
災害公営住宅でのペット飼育禁止は、過去の大規模災害でも繰り返し指摘されてきた問題だ。被災者にとってペットは家族同然であり、生活再建において重要な存在であるにもかかわらず、公営住宅の規則が障壁となっている。専門家は「ペットと暮らすことが被災者の心の支えになるケースも多く、柔軟な対応が必要」と指摘する。
被災者の声と今後の課題
山下さんは「ルイは家族の一員。離れることは考えられない」と話す。仮設住宅ではペット飼育が許可されているが、復興住宅への移行期に新たな困難に直面している。自治体は「衛生面や他の入居者とのトラブルを懸念して規則を設けている」と説明するが、被災者からは「生活再建の選択肢を狭める」との批判が出ている。
能登半島地震から2年が経過し、復興は進むが、ペットを飼う被災者の住まいの問題は依然として解決されていない。今後の災害公営住宅の運営において、ペット飼育の条件緩和や、ペットと暮らせる住宅の確保が求められている。



