生成AIがインターネット上の記事やブログなどを要約して回答するサービスをめぐり、政府は著作物の不当な利用を防ぐための新たな歯止め策を検討する見通しとなった。焦点は制度を改正して法的義務を設けるかどうかだ。
検索拡張生成(RAG)の急速な普及
近年、生成AIと検索エンジンが連動した「検索拡張生成(RAG)」によるサービスが急速に広がっている。RAGは、AIが過去に学習した内容に加えて、ネット上の最新情報を検索し要約して提示することで、より正確で新しい情報を提供できるとされる。
しかし、新聞社など元のコンテンツを作成した権利者にとっては、ユーザーがAIによる回答で満足し、自社サイトへのアクセスが減少する恐れがある。また、個別の有料記事だけでなく、記事データベースの販売にも悪影響が懸念されている。
政府の知財戦略計画案に「課題の整理」
政府は、生成AIへの対応策を新しい知的財産戦略計画に盛り込むため、知的財産戦略本部の有識者会議で議論を重ねてきた。5月25日に計画案が示され、大筋で了承された。6月にも開かれる知財本部で正式決定される予定だ。
計画案には、生成AIによる要約サービスについて、著作物の「不当な利用行為の防止」に向けて「課題の整理を行う」と明記されている。特に焦点となっているのは、権利者がウェブサイト内の「robots.txt(ロボッツテキスト)」ファイルで示した「利用拒否」の意思をAI事業者に尊重させる方策だ。
解決策の検討
解決策の一つとして、専門家からはrobots.txtの遵守を法的義務とする案や、AI事業者に利用許諾の取得を求める制度設計などが提案されている。一方で、技術的な実現可能性や表現の自由とのバランスも課題となる。
政府はこれらの論点を整理し、今後の具体的な施策につなげる方針だ。有料会員向けの記事も含め、権利者の保護とAI技術の発展の両立が求められる。



