国土交通省への取材により、民間の集合住宅やビルに設置されたエレベーターの事故防止安全装置を備える改修費用を国と地方自治体が補助する制度の利用実績が、直近5年間でわずか7自治体にとどまっていることが明らかになった。この制度は、2006年に東京都港区で高校2年の男子生徒がエレベーター事故で死亡した事件から20年が経過する中、依然として多くのエレベーターに安全装置が設置されていない現状を改善するために設けられた。
安全装置未設置のエレベーターは約47万台
国土交通省の調査によれば、全国のエレベーターの約6割に相当する約47万台に、二重ブレーキなどの安全装置が設置されていない。これらの装置は、通常のブレーキが故障した場合に別系統のブレーキが作動する仕組みで、2009年以降に新設されたエレベーターには義務化されているが、既存のエレベーターについては努力目標に留まっている。
補助制度の利用実績
2022年度から2026年度までの間に、この補助制度を利用したのは東京都港区、新宿区、荒川区、大阪市、堺市、神戸市、熊本県上天草市の7自治体のみである。これらの自治体では、民間所有のエレベーターの改修費用の一部を補助しているが、全国的な普及には至っていない。
金子恭之国土交通大臣は2日の閣議後会見で、「改修費用が課題となっている。補助の引き上げなどで安全確保に取り組んでいく」と述べ、制度の見直しを検討する方針を示した。未設置の約47万台のほとんどは民間が所有しており、改修費用の負担が大きな障壁となっている。
今後の対策
国土交通省は、補助率の引き上げや対象範囲の拡大など、制度の改善を検討している。また、自治体への周知徹底や、所有者に対する啓発活動を強化することで、安全装置の設置を促進する方針だ。エレベーター事故の防止に向けて、さらなる対策が求められている。



