がん遺伝子治療の自由診療に規制強化
厚生労働省と環境省は2026年5月27日、遺伝子組み換え生物の使用を規制する「カルタヘナ法」に基づく承認を得ずに、がん患者を対象とした自由診療の遺伝子治療を実施したとして、全国33の医療機関に対し措置命令を発出しました。この命令には、再発防止策の策定や治療に使用した製剤の廃棄報告が含まれています。
現時点では、有害事象やウイルスの外部漏えいは確認されていません。しかし、これらの医療機関で提供されていた治療法は、「p53」や「CDC6shRNA」といったがんの発症に関連する遺伝子を標的としていたものの、その有効性は十分に立証されていないとされています。治療では、特定の遺伝子を細胞内に運搬するために遺伝子組み換えウイルスが使用されていました。
措置命令の背景
カルタヘナ法は、遺伝子組み換え生物の使用による生物多様性への影響を防止するための法律です。医療機関が遺伝子治療を実施する際には、同法に基づく承認手続きが必要ですが、今回の33医療機関はこれを怠っていたとみられます。
厚生労働省は、患者の安全性を確保する観点から、未承認の遺伝子治療に対して厳格に対処する方針を示しています。自由診療であるため、患者が自己負担で治療を受けるケースが多く、情報不足のまま高額な費用を支払うリスクも指摘されています。
今後の対応
両省は、対象医療機関に対して治療の即時中止と製剤の適切な廃棄を求めるとともに、再発防止策の報告を義務付けました。また、他の医療機関に対しても、同様の違反がないか監視を強化するとしています。
専門家からは、遺伝子治療の自由診療市場が拡大する中で、規制の実効性を高める必要性が指摘されており、今回の措置命令が業界全体の意識改革につながることが期待されています。



