東京都心から電車で約1時間、福生市の住宅街に位置する「ほたる公園」では、初夏の夜にホタルの淡い光が舞い、日本の原風景を楽しむことができる。この景色を守り続けているのが、住民有志で構成される「福生ホタル研究会」だ。会長を務める小林陽一さん(77)は、活動に参加して30年以上が経過し、現在は36人の会員をまとめている。
年間を通じたホタルの育成活動
公園で見られるゲンジボタルは成虫の期間が約1週間と短いが、研究会の活動は年間を通じて休みがない。幼虫のふ化から成虫までの育成に加え、幼虫の餌となるカワニナ(巻き貝の一種)の世話も行っている。成虫が現れ始める時期には、会員が交代で園内をパトロールし、状況を確認する。
地域とホタルの60年にわたる絆
福生市とホタルのつながりは約60年前にさかのぼる。1965年ごろ、地元の玉川上水付近では多くのゲンジボタルが見られ、その光景に感動した町会役員らが「多くの人に鑑賞してもらおう」と提案。翌年から「ほたる祭」が始まった。小林さん自身もこの地域で育ち、「子どもの頃は蚊帳の中で寝ていると、家の中にホタルが飛び込んできた」と懐かしむ。ほうきを向けると穂先に止まることもあり、それほど身近な存在だったという。
しかし、護岸工事の影響でホタルは姿を消した。現状を憂いた地元有志が1968年に「保存会」を発足させ、人工養殖を開始。1991年には研究会と改称し、現在に至る。1993年には養殖用のドームを備えた公園が整備された。
親子2代で受け継がれる活動
小林さんの父親も研究会に参加しており、小林さん自身も次第に活動の中心となった。同様に親子2代で研究会に参加する人も少なくない。2022年からは、地元の福生病院から出る野菜や果物のくずをカワニナの餌として活用する取り組みを開始。食欲旺盛なカワニナの安定した餌の確保という課題を解決し、この環境に優しい方法は県外のホタル保護活動にも広がっている。
今年もホタルが舞い始める
今年も5月に入り、園内でホタルが舞い始めた。幻想的な景色を楽しもうと、地元の親子連れらが訪れている。小林さんは「この光景を見るとうれしくなり、これからも夏の風物詩を守りたいという気持ちが強くなる」と語る。
福生のホタルの見ごろは、ほたる公園で今月いっぱい楽しめそうだ。時間帯は午後7時半から9時ごろがおすすめ。園内の状況は、インスタグラムのアカウント(fussa_hotaru_mithu)で確認できる。



