看護学生の自死を機に両親がNPO設立 閉鎖的な教育環境の改善を目指す
看護学生の自死で両親がNPO設立 教育環境改善へ (13.04.2026)

看護学生の自死をきっかけに両親がNPO法人を設立

岐阜県で看護専門学校に通う息子を亡くした両親が、看護学生が安心して学べる環境作りを目指し、NPO法人「全国看護学生はぐくみネット」(瑞穂市)を設立した。指導の厳しさを感じるなどして悩む学生の相談に乗り、関係機関に教育環境の改善を働きかける活動を展開している。父親の高橋裕樹さん(52歳)は、「息子が望んだであろう看護学校生活を、これからの若者が実現できるようにしたい」と語り、悲しみを力に変えて取り組んでいる。

実習期間中の悲劇と第三者委員会の調査

高橋さんの息子である蓮さんは、県立下呂看護専門学校(下呂市)に在学中の2022年7月、実習先の県立病院から早退し、近くで自ら命を絶った。看護師を志していた蓮さんは、亡くなる10日ほど前、X(旧ツイッター)に「人格を否定された」という書き込みをしていた。さらに、「将来に夢も希望もなくなったので死にます」などの投稿もあったという。

県が設置した第三者委員会による調査では、「教員の指導・言動にハラスメントに該当するものはなく、複数の要因が重なり合った」などと結論付けられた。しかし、高橋さんは調査結果について、疑問に思う部分を委員に質問しても答えが得られず、「消化不良」だったと振り返る。

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全国から寄せられる看護学生の相談

息子は、なぜ死ななければならなかったのか――。そんな問いを抱えたまま、高橋さんはXに蓮さんの死について投稿した。すると、全国の看護学生から「実習中に何度も死を考えました」などと悩みを訴えるメッセージが相次いで届いた。

2023年4月、妻と2人で看護学生を守るための任意団体を設立し、学生からのオンライン相談の対応などを始めた。2025年11月にはNPO法人化し、現在、看護師などの有資格者らを含む17人で活動している。これまでに全国から寄せられた相談は300件を超え、相談内容では、「教員や指導者との関係や指導に関する悩み」が6割程度を占めているという。

閉鎖的な教育環境と構造的な問題

高橋さんは、看護学校の教育環境には「構造的な問題がある」と指摘する。小規模な学校が多く、閉鎖的な環境になりがちで、パワハラなどがあった場合に学生が相談しにくかったり、心理的不安を感じやすかったりするという。

同団体メンバーで弁護士の町永莉江子氏は、看護学校から完全に独立した看護学生向けの相談機関が必要だと主張している。小規模の看護学校が自主的に設置するのは「人員的、財政的に難しい」として、法律による義務付けを求めている。

「今でも息子が描いた夢である看護師という職業を尊く素晴らしいものだと考えています」。蓮さんの思いと共に、高橋さんらは活動を続けていく。全国看護学生はぐくみネットでは、看護学生からの相談をラインで受け付けている。

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