93歳現役医師が語る働き続ける意義と長寿の秘訣 佐賀の介護施設で地域医療に貢献
93歳現役医師が語る働き続ける意義と長寿の秘訣 (12.04.2026)

93歳現役医師が語る働き続ける意義と長寿の秘訣

「人生100年時代」と言われる現代において、佐賀県白石町の介護老人保健施設「白い石」の太田善郎施設長は、93歳となった今も現役の医師として医療の現場に立ち続けている。そんな太田医師に、働き続けることの意義や長寿の秘訣について詳しく話を聞いた。

現役医師としての日々の活動

太田医師は現在、施設の唯一の医師として、入所者約80人と通所者約60人の健康管理を担当している。夜間に入所者に異常があれば、自宅から電話で施設の看護師に指示を出す遠隔医療も行っている。さらに地域の老人クラブに出向いて健康診断や健康講話を行うなど、多岐にわたる活動を続けている。

医師を志したきっかけと研究への道

医師を志したきっかけについて、太田医師は「親戚に医者がいたことで興味を持ちました。患者を助ける姿に憧れたのです」と語る。当初は内科か外科で開業することを考えていたが、九州大学大学院で「鎌状赤血球症」というテーマに出会い、研究の道に進むことになった。

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医師生活で最も思い出深い出来事として、1971年に科学誌『ネイチャー』に鎌状赤血球症に関する論文が掲載されたことを挙げる。「当時は大学紛争の影響で研究に集中できない状況でした。国際血液学会で発表した後、欧州旅行をして大学を辞めようと考えていたのです。その際、英国で出会ったネイチャーの関係者に研究内容を手渡したところ、帰国後に掲載されたことを知りました」と振り返る。

佐賀との縁と教育への貢献

佐賀との縁は、九州大学大学院在籍中のインターンで好生館に来たことから始まった。その後、佐賀医科大学が設立される際、インターンの縁もあって学生たちの実習指導医として呼ばれた。現在も佐賀大学医学部6年生が好生館で実習を行っており、「医大生の教育に貢献できて良かった」と感じているという。

働き続ける理由と認知症予防

93歳となった今も働き続ける理由について、太田医師は「仕事を続けることは認知症の予防になると考えています。脳に刺激を与えるため、誰かと会話することが特に重要です。たとえ収入がなくても、責任を持つことで緊張感が生まれ、それが生きがいにもつながります」と語る。

長寿の秘訣と健康維持の方法

長寿の秘訣について尋ねると、「体に悪いことはほとんどやってきませんでした」と答える。酒は初めての宴席で失敗して以来、1合ほどに抑えてきたという。たばこは吸わず、散歩を日課にしており、平日の昼休みには職場の周りを必ず歩いている。

また、人間ドックの受診の重要性も強調する。「私自身、75歳の時に初期の肺がんが見つかり、人間ドックの重要性を再認識しました。定期的な検査は健康維持に欠かせません」と語る。

今後の目標と地域への思い

今後の目標について、「自分が少しでも社会の役に立つのであれば、力になりたいという思いが強いです。求められる限りは、今の施設長や健康講話の仕事を続け、地域の要望に応えたいと考えています」と語る。

太田善郎医師の略歴

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  • 熊本県出身
  • 九州大学医学部から同大学院へ進学
  • 同学部講師や愛媛大学医学部助教授などを経て、1982年に県立病院好生館の内科医長として赴任
  • 1996年に10代目館長に就任
  • 1998年に定年退職後、国際医療福祉大学(福岡県大川市)のリハビリテーション学部長などを務める
  • 2019年から介護老人保健施設「白い石」の施設長に就任
  • 明治維新などの歴史研究も続けている