終身サポート事業者の4割が医療意向表明の国指針を「知らず」、適切なプロセス懸念
終身サポート事業者4割が医療意向表明の国指針「知らず」 (11.04.2026)

医療意向表明の国指針、事業者の4割が「知らない」実態

2026年4月12日、厚生労働省の研究班による調査結果が明らかとなりました。高齢者等終身サポート事業者を対象とした調査において、医療に関する意向表明文書のサービスを提供する事業者の約40%が、意向を決める際の指針となる国のガイドラインを「知らない」と回答したのです。この結果は、適切なプロセスを経ずに高齢者の終末期医療の意向が決定されている可能性を示唆しており、大きな懸念を呼んでいます。

増加する終身サポート事業者と多様なサービス

身寄りに頼れない高齢者の増加を背景に、かつては家族や親族が担っていた役割を有料で提供する「高齢者等終身サポート事業者」が近年、急速に増加しています。これらの事業者は、入院や施設入所時の身元保証、日常生活の支援、死後の葬儀や各種手続きなど、多岐にわたるサービスを提供しています。

しかし、契約内容と実際のサービス提供に齟齬が生じたり、サービス内容や料金体系を十分に理解しないまま高額な契約を結んでしまったりする消費者トラブルも増加傾向にあります。こうした問題を受けて、国は2024年6月、事業者が遵守すべきガイドラインを公表しました。

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国のガイドラインと医療意向表明の位置づけ

公表されたガイドラインでは、手術などの医療行為に対する同意権限は、事業者を含む第三者には存在しないことが明確に記されています。一方で、利用者本人が重篤な状態に陥る前に、終末期医療に関する希望などをあらかじめ表明した書面を事業者が保管することは想定されています。

さらに、事業者がその書面を医師に渡すことや、本人が希望する場合に医師の説明に同席することは「差し支えない」とされています。このように、ガイドラインは事業者の関与の範囲を慎重に規定しているのです。

調査で浮き彫りになった実態と課題

厚生労働省の研究班は、2024年9月から11月にかけて、インターネット上で把握できた395の事業者を対象に実態調査を実施しました。139件の回答を得た中で、104事業者(74.8%)が医療に関する意向表明文書のサービスを「提供している」と回答しました。

文書に記載される内容としては、「延命治療に関すること」が94.2%、「緩和ケアに関すること」が65.4%など、終末期医療に関する項目が多くを占めていました。しかし、これらのサービスを提供する104事業者のうち、約40%が国のガイドラインを「知らない」と回答したのです。

この結果は、事業者が適切な指針に基づかずに、高齢者の医療意向を決定するプロセスに関与している可能性を示しています。例えば、西日本のあるNPO法人が活用している「私の受けたい医療やケアに関する意思表明書」のように、終末期における心臓マッサージや人工呼吸器の希望を記載する文書も存在しますが、その作成プロセスがガイドラインに沿っているかどうかは不透明な部分が残ります。

今後の展望と求められる対応

高齢者等終身サポート事業者の役割は、社会的に重要性を増しています。しかし、医療意向表明のようなデリケートな問題に関しては、事業者の知識不足やプロセスの不備が重大な結果を招く恐れがあります。国のガイドラインの周知徹底は急務であり、事業者に対する教育や研修の充実が求められます。

また、消費者側もサービス内容や契約条件を十分に理解し、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要です。高齢者の尊厳と意思を尊重した医療を実現するためには、事業者、行政、消費者が連携して適切な枠組みを構築していく必要があるでしょう。

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