ハラスメント問題が選挙結果に直撃、佐賀県の町長選で現職の明暗が分かれる
佐賀県有田町と吉野ヶ里町の町長選が12日に投開票され、それぞれハラスメント問題を抱える現職と新人候補が争う異例の構図となった。選挙結果は、有田町ではセクハラ問題のあった現職が大差で敗北し、吉野ヶ里町ではパワハラ認定された現職が3選を果たしたものの、前回選挙から得票数を大きく減らすという複雑な様相を呈した。
有田町長選:セクハラ問題で現職が落選、新人が勝利
有田町長選では、無所属現職の松尾佳昭氏(52)が3164票にとどまり、無所属新人で元町財政課長の鷲尾佳英氏(60)に1852票の差をつけられて敗北した。松尾氏は12日夜、事務所で支持者を前に沈痛な表情を浮かべ、「私の不徳が一番の原因」と唇をかみしめながら敗戦の弁を述べた。
松尾氏は昨年9月、出張先の宴席で接客した女性にセクハラ行為をしたとして、12月に一度は辞意を表明したが、後に撤回して職にとどまり、3月に立候補を表明していた。選挙戦ではセクハラ問題について「これ以上、町政を混乱させたくない」として弁明を控えたが、陣営関係者によれば、「有田の恥をさらした者を応援できない」との有権者の声も聞かれたという。
投票率は69.70%(前回67.43%)と、前回を上回る高い関心を集めた。
吉野ヶ里町長選:パワハラ認定の現職が3選、得票は大幅減少
一方、吉野ヶ里町長選では、無所属現職の伊東健吾氏(78)が2321票を獲得し、3選を果たした。しかし、前回選挙から1500票余りを減らし、次点候補との差は435票にとどまった。伊東氏は12日夜、町内で支持者に対し、「新人3人の得票(計5216票)は私に対する批判票であり、これを十分に背負いながら町づくりを推進させていただきたい」とあいさつした。
吉野ヶ里町では、伊東氏からのパワーハラスメント被害を訴えていた元課長の男性が2024年11月に死亡し、町の第三者委員会が2025年9月に伊東氏の言動1件をパワハラと認定していた。伊東氏は報道陣の取材に対し、「パワハラ問題は卒業させていただいて、町づくりに専念する」と述べ、問題への対応をやめる意味ではないと釈明しつつ、「仕事の一つとして責任ある立場でやっていく」と語った。
投票率は59.48%(前回55.33%)で、有田町に比べるとやや低い水準だった。
選挙結果の背景と今後の課題
両町の選挙結果は、ハラスメント問題が有権者の判断に大きく影響したことを示している。有田町ではセクハラ問題が直接的な敗因となり、吉野ヶ里町ではパワハラ問題が批判票として現職の得票を押し下げた。これらの結果は、地方政治における倫理や信頼の重要性を浮き彫りにした。
今後、両町では新たな町政がスタートするが、ハラスメント問題への対応や町民の信頼回復が重要な課題となる。特に吉野ヶ里町では、伊東氏が「批判票を背負う」と表明したように、町づくりにおいて透明性と説明責任が求められるだろう。



