甲賀市のコミュニティーFM「エフエム花」、信楽町に新アンテナを設置し全市域カバーへ
滋賀県甲賀市のコミュニティーFMラジオ局「エフエム花」(周波数77.5メガヘルツ)が、同市信楽町に送信アンテナを新たに設置し、2026年4月1日から同町内でもクリアな音質で聴取できるようになりました。これにより、甲賀市のほぼ全域で電波が届く体制が整い、緊急情報の発信や地域コミュニティの強化に貢献しています。
東日本大震災をきっかけに開局、防災意識の高まりが背景に
「エフエム花」は、2011年の東日本大震災をきっかけに、地元密着型のコミュニティーFMの重要性を実感した甲賀市水口町の中村一弘さん(60)が、生花店を営みながら5年の構想期間を経て、2023年9月18日に開局しました。当初は山間部で電波が届きにくい信楽町が聴取エリアから外れていましたが、中村さんは「まず開局を優先した」と振り返ります。
2024年1月の能登半島地震では、「全市に電波を届けないとダメ」と痛感し、国などの補助金を活用して二つ目となるアンテナ設置を急ぎました。中村さんは「甲賀市は災害が少ない土地柄だが、何が起きるかわからない。防災面でラジオは非常に大事なツール」と語り、市内ほぼ全域をカバーする体制が整ったことを喜んでいます。
地元住民がDJを担当、生放送で地域のつながりを強化
同局のディスクジョッキー(DJ)は地元住民ら約20人が交代で担当し、平日は朝(午前7時~8時)、昼(正午~午後1時半または2時)、夕方(午後5時半~7時)の時間帯に生放送を実施しています。その日のテーマに沿った話題やリスナーからのメッセージをもとに語りかけ、他の時間帯は音楽を流すなど、地域に根ざした番組編成が特徴です。
DJは全員が未経験者で、中村さんの高校時代の後輩であるカミムさん(59)は金曜昼などを担当。「生放送でリスナーから反応があるのが楽しい。つながりがリアルに感じられる」と笑顔で語り、緊急情報の発信についても「ラジオの役割の一つだと思う」と強調します。
緊急情報の発信で実績、迷い人の保護にも貢献
開局以来、同局は5件ほどの迷い人緊急情報を電波に乗せて送信し、ほとんどが保護につながっています。中村さんは「生放送時以外でも、必要ならすぐにスイッチを入れて呼びかけられる」と即応性の高さをアピール。リスナーからは「一日中、周波数を合わせっぱなし」との声も届いており、「エフエム花に元気づけられると、直接言ってもらえる」と、地域の支持が原動力になっていると話します。
今後の展望:イベントでの生放送で認知度向上を目指す
今後は市役所や地域市民センター前などでのイベント時に現地から生放送を行い、認知度を上げるのが目標です。中村さんは「市内の皆さんにもっと知ってもらいたい」と意気込みを語ります。コンテナを改装したスタジオから届けられる〈ラジオの時間〉は、コミュニティーツールとして大きな可能性を秘めています。
庚申山の展望台に設けたアンテナからは、甲賀市の水口、甲賀、甲南、土山各町に加え、湖南市、竜王町、日野町がエリアに入り、電波条件が良ければ彦根や長浜、高島の各市でも聴取可能です。地域の安全とつながりを支える「エフエム花」の取り組みは、今後も注目を集めそうです。



