山形県庁内で、職員のモチベーションや生産性向上を目的としたオフィス改革が進行中だ。職場のレイアウトを刷新し、席を固定しない「フリーアドレス化」や文書保管用の書棚を半減させるなど、開放感あふれる空間を実現。従来の「縦割りでお堅い」という役所イメージからの脱却を図り、優秀な人材の確保につなげる狙いもある。
改革の背景と目的
県職員の採用試験では、2025年度の「行政職」大卒受験者数が319人と、10年前と比べて約2割減少。合格辞退者も増加傾向にあり、2025年度は合格者の22%に達し、多くが国家公務員や他自治体に流れている。また、30歳代以下の早期離職者も年々増加しており、深刻な人材難が改革の背景にある。
モデル職場のDX推進課
昨年度から改革が進むモデル職場は、県庁6階にあるDX推進課。自由な雰囲気が漂うフロアでは、上司も部下も座席を固定せず、その日の業務内容に合わせて席を選ぶフリーアドレスを導入。職員間の意思疎通が促進されているという。
具体的には、レストランのように横並びで気軽に打ち合わせができる大画面付きの「ファミレス席」、集中作業に適した「ついたて付き個人ブース」、気分転換に立ったまま仕事ができる「ハイテーブル席」などが設置されている。事業費は同課など3課と東京事務所で計3740万円。
DX推進課の佐藤文哉さん(26)は、「今までなかったコミュニケーションが生まれ、意思決定も円滑。よりクリエイティブに仕事ができています」と、刷新されたオフィスを歓迎する。
若手職員主導の改革
フロア改革は、佐藤さんら若手職員が中心となり意見を出し合って推進。実施後の職員アンケートでは、約9割が打ち合わせのしやすさや会話の増加などを実感。書棚を減らし、会議では大画面を活用するなどして、ペーパーレス化も進んだ。
今後の展開
県は今年度も複数の部署で改革を進める予定で、当初予算案に2730万円の関連費用を計上。県行政経営企画課の太田真也課長補佐は、「若者に刺さる職場を目指したい。オフィス改革を手段の一つとし、働き方改革も進め、職員のウェルビーイング(良好な状態)の実現を図る」と意欲を示す。
全国の動き
官公庁のオフィス改革コンサルティングを手がけるコクヨ(大阪市)によると、官公庁からの受注はここ1、2年で急増。全国の都道府県庁では、約7割が見直しに着手しているという。
従来の官公庁オフィスは紙への依存度が高く、山積みの文書で限られた場所でしか仕事ができなかった。席のレイアウトは窓際に座る管理職から職階順に部下の席が続き、一方通行のコミュニケーションによる非効率さも課題だった。
近年、こうしたオフィスを変革する動きが活発化。県内では高畠町も昨年の新庁舎建設に合わせ、課の仕切りのない「オープンフロア」を導入。町民窓口がある1階にソファー仕様の相談ブースや、子どもを遊ばせながら相談できるコーナーを設けるなど、住民の利便性向上にもつなげている。
コクヨグローバルワークプレイス事業本部の田中経介さん(61)は、「ぜいたく品のように見られていた公務員のオフィス改革だが、住民サービスや地域発展につながる重要な問題で、税金を投資する意義は大きい」と強調する。



