小山市の思川桜「里親制度」が25周年 記念展示会で現状と課題を共有
栃木県小山市原産の桜「思川桜」のオーナー制度「桜の里親制度」が創設から25周年を迎え、記念展示会が4月12日まで市内で開催されています。この展示会は、同市に住み26本の思川桜の「里親」を務める大嶋寛さん(76歳)が企画したもので、制度の歩みと現在直面する課題を市民と共有することを目的としています。
2000本以上が植樹された制度の歴史
思川桜は1954年に小山市内の修道院で発見された十月桜の突然変異種で、1978年に市の花に指定されました。ソメイヨシノより約1週間遅く開花し、淡いピンク色のかれんな花を咲かせる特徴があり、4月上旬から中旬が見頃となります。
2001年、市内各所に思川桜を増やすことを目的として、小山市が「里親制度」を開始。5年前に市が維持管理費増加などを理由に募集を休止するまでに、市内48か所に計約2200本が植えられました。制度では1本3万円でオーナーを募集し、道路沿いや公園、川沿いの遊歩道などに植樹が行われてきました。
大嶋さんは「この制度で2000本以上が植えられましたが、病害虫被害も増えています。どう守るか、みんなで考えるきっかけになれば」と語ります。子や孫の誕生、入学、結婚などの記念にオーナーになる人も多く、応募が多数に上り抽選になることもあったといいます。
展示会では病害虫被害の実態も紹介
小山市中央町の市民ギャラリー「まち美」で開催されている展示会では、大嶋さんが撮影した思川桜の写真約20点やドローン映像、制度創設時の市長で思川桜の保護活動を続ける大久保寿夫氏によるパネルや写真が展示されています。
特に注目されるのは、幼虫が木を食い荒らす外来害虫「クビアカツヤカミキリ」の標本展示です。大嶋さんは「クビアカツヤカミキリによる枯死も出ています。大切な桜の木を守るために、思川桜の魅力を改めて知ってほしいと企画しました」と説明します。
会場では思川桜の名所をドローンで巡った映像も上映されており、来場者は空中から桜の美しさと分布状況を確認することができます。
オーナー高齢化と制度の将来が課題に
病害虫被害と並んで深刻な課題となっているのが、オーナーの高齢化です。市によると、オーナーが亡くなるなどして連絡が取れず、枯死した木を伐採できないケースもあるといいます。
現在、小山市は各オーナーに「里親の継続」の意思確認を進めており、休止中の制度を今後どうするかについて、意見交換会の開催も検討しています。
大嶋さん自身は若い頃に自転車旅行で訪れた北海道で桜の植樹祭に参加した思い出があり、制度が始まった年から、抽選に漏れた1回を除いて毎年オーナーになり、多い年は5本も植えたそうです。「普段から木を見て回ります。春の花を見るのも大きな楽しみです」と語る大嶋さんの言葉からは、長年にわたる桜への愛情が感じられます。
展示会の詳細情報
記念展示会は入場無料で、開催時間は午前10時から午後6時まで(4月6日は休館、最終日の4月12日は午後4時まで)です。問い合わせは会場のまち美(電話:0285-21-3381)まで。
25年の歴史を持つ思川桜の里親制度は、地域のシンボルとしての桜を守り育てる市民参加のモデルケースとして始まりましたが、現在は新たな課題に直面しています。展示会を通じて、多くの市民が思川桜の現状と未来について考える機会が提供されています。



