名古屋市は、人工知能(AI)技術を積極的に活用し、職員の業務負担を軽減する取り組みを本格化させている。市は、AI導入による業務効率化の具体的な事例を公開し、他自治体への横展開も視野に入れた先進的な試みを進めている。
AI導入の背景と目的
名古屋市では、少子高齢化に伴う職員数の減少や、複雑化する行政ニーズへの対応が課題となっていた。こうした状況を打破するため、AI技術を活用した業務改革プロジェクトを立ち上げ、2023年度から段階的に導入を進めてきた。
プロジェクトの目的は、単なる業務効率化にとどまらず、職員がより創造的で付加価値の高い業務に注力できる環境を整えることにある。具体的には、定型業務の自動化や、データ分析の高度化などを通じて、市民サービスの質的向上を目指している。
具体的な導入事例
1. 文書作成支援AI
市役所内で発生する膨大な文書作成業務を効率化するため、AIによる文書草案作成システムを導入。職員がキーワードを入力すると、過去の類似文書を学習したAIが自動的に草案を生成する。これにより、文書作成にかかる時間を平均で約30%削減することに成功した。
2. 問い合わせ対応チャットボット
市民からのよくある問い合わせに対応するため、AIチャットボットを市の公式ウェブサイトに実装。24時間365日対応が可能となり、職員の電話対応負担を大幅に軽減。チャットボットでの解決率は約80%に達し、職員は複雑な案件に集中できるようになった。
3. 業務フロー最適化AI
各部署の業務プロセスをAIが分析し、非効率な部分を自動的に検出。改善案を提案するシステムを試験運用中。これにより、業務のムダを可視化し、年間で約1万時間の業務時間削減が見込まれている。
今後の展開
名古屋市は、これらの取り組みをさらに拡大し、2025年度までに全部署へのAI導入を目指す方針だ。また、導入事例を他自治体と共有し、全国的な行政DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも貢献したいとしている。
市の担当者は「AIはあくまでツールであり、最終的には職員のスキルアップと市民サービスの向上につなげたい」と語り、人間とAIの協働による新たな行政モデルの構築に意欲を示した。



