東京都は、高齢者の孤独死を防ぐため、人工知能(AI)を活用した見守りシステムの実証実験を都内で開始したと発表した。このシステムは、高齢者宅に設置したセンサーを通じて、生活の異変を検知し、家族や見守り事業者に自動で通知する仕組みだ。
実証実験の背景
都内では高齢化が進み、一人暮らしの高齢者も増加している。これに伴い、孤独死のリスクも高まっており、行政として対策が急務となっていた。今回の実証実験は、こうした課題に対応するため、最新のテクノロジーを活用した新たな見守りサービスの有効性を検証することを目的としている。
システムの概要
システムは、高齢者宅の居間や寝室などに設置された赤外線センサーや人感センサー、扉の開閉センサーなどで構成される。これらのセンサーが収集したデータは、クラウド上のAIが分析する。AIは、普段の生活パターンを学習し、例えば、普段は朝に起きているのに、昼過ぎまで動きがない場合や、トイレに行く回数が極端に減った場合などを異変と判断する。異変を検知した場合、事前に登録された家族や見守り事業者にメールやアプリで通知が送られる。
また、通知後、一定時間が経過しても確認が取れない場合は、自治体の担当者や警備会社が駆けつけるなどの緊急対応も想定されている。システムは、高齢者のプライバシーに配慮し、カメラ映像ではなくセンサー情報のみを扱うことで、過度な監視感を抑えている。
実験の規模と期間
実証実験は、都内の複数の区で、合計約100世帯の高齢者を対象に実施される。期間は2026年5月から約6ヶ月間を予定している。参加する高齢者は、無料でシステムを利用できる。都は、実験を通じて、システムの精度や使いやすさ、高齢者の生活の質の変化などを評価し、今後の本格導入の可否を判断する方針だ。
専門家の見解
高齢者福祉に詳しい専門家は、「AIによる見守りは、人手不足が深刻化する介護現場において、有効な手段の一つになり得る。ただし、技術に依存しすぎず、人の温かみのあるケアと組み合わせることが重要だ」と指摘している。
東京都の担当者は、「このシステムが、高齢者が安心して暮らし続けられる地域社会の実現に貢献することを期待している。実験結果を踏まえ、より効果的な見守り体制を構築していきたい」と話している。



