大阪高裁(大島雅弘裁判長)は5月27日付で、ノンバイナリーの人が戸籍の男女表記変更を求めた抗告審において、現行の戸籍法の運用が法の下の平等を定める憲法14条の趣旨に抵触するとの判断を示したことが5月29日、明らかになった。この判断は、5月8日に別のノンバイナリーの抗告に対して同様に憲法に言及した決定に続く、2例連続のものとなる。
抗告人の状況
抗告人は京都府を本籍地とする40代の人物で、出生時には男性として届け出られ、戸籍の父母との続き柄欄には「長男」と記載された。しかし、成長とともに女性化乳房症が現れ、性分化疾患の一種と診断された。当初は男性ホルモン補充療法を受けたが体調が悪化し、その後婦人科疾患の診断を受けて女性ホルモン補充療法に切り替えた。
実生活への影響
抗告人は、住民票や保険証など戸籍に基づく公的書類が男性表記であるため、医療機関で「男性なのに婦人科疾患」と理解されないなど、実生活に支障をきたしていると主張。戸籍の表記を「第1子」や「子」など、性自認や生活実態に合ったものに変更するよう求めていた。
高裁の判断
決定は、性自認が個人の人格的存在に直結する重要な法的利益であると指摘。その上で、戸籍法施行規則が男性にも女性にも当てはまらない国民の表示方法を定めていないことは、平等原則を定める憲法14条1項の趣旨に抵触し、是正すべき状態にあると判断した。
しかし、戸籍制度の見直しは国会の立法過程を通じて行われるべきだとして、抗告は棄却された。抗告人は最高裁に特別抗告する方針。



