お坊さんと葬儀屋さんによる異色ユニット「THE南無ズ」
お坊さんと葬儀屋さんを中心としたコミックバンド「THE南無ズ」が、じわじわと人気を集めている。仏教にちなんだ不思議な楽曲と、説法やコントも交えたライブは笑いが絶えない。バンドはライブハウスを飛び出し、全国のお寺を巡るツアーの真っ最中だ。宗教も音楽も人の心に寄り添うもの。仏教と音楽と笑いを掛け合わせた「仏教エンターテイメント」という新境地を切り開いている。
ライブは「法事」、ファンは「檀家」
5月23日の昼下がり、目黒区の閑静な住宅街にある古刹・円融寺。金色の阿弥陀如来像が鎮座する厳かな本堂に、およそ似つかわしくないバンドの音が鳴り響いた。「寺寺寺寺寺卍(まんじ)」。小気味よいリズムと不思議な歌詞に合わせ、客席も一斉にポーズを取る。本堂は演者と観客がつくり出す、おかしくも幸せな空気に満ちた。
THE南無ズは自分たちの活動を仏教用語になぞらえる。ライブは「法事」、ファンは「檀家」、チケット代は「お布施」。神奈川県秦野市から家族3人で参加した主婦の吉川裕子さん(46)は檀家歴2年。この日の法事も「会場の雰囲気が良くて、本当に楽しい」と笑顔で振り返った。
メンバー構成と活動内容
バンドの結成は2018年。ボーカルと説法(MC)を担当する彼岸田盆さんは現役の僧侶だ。愛媛県にある実家の寺では副住職の地位にあるが、東京では「フリーの坊さん」として、時々法事でお経を読む。作詞・作曲を担当する涅槃崎悟さんは葬儀会社に在籍しており、黒ネクタイ、白い手袋の「葬儀屋スタイル」でギターを鳴らす。ベースの虚無弦僧四さんは、天蓋をかぶった虚無僧姿。いずれも、インパクトのあるビジュアルだ。
楽曲の歌詞は、合掌の意味を説明したり、金剛力士像の解説をしたり、墓参りの意義を説いたり。涅槃崎さんは「仏教の知識を必ず楽曲に入れている」と話す。仏教の知識がバンドのグルーブに乗って伝わる。彼岸田さんと涅槃崎さんはバンド活動と並行し、お笑いコンビも組む。南無ズの法事は、笑いの要素が最も重視される。
4月には2枚目のアルバム「世帯に一つだけの墓」を発表した。最初のアルバムは「ナム・ストーリーは仏前に」。クスッと笑ってしまうタイトルは「Jポップの名作へのオマージュです」(彼岸田さん)。
メッセージ性より「楽しんでもらうのが目標」
昨年からはTHE南無ズにしかできない活動として、お寺でライブを始めた。「お祭りだったり、舞踊だったり、お寺はもともとエンタメを見せる場所です」(彼岸田さん)。今後もバンドのライフワークとしてお寺でのライブは続ける方針で、会場を提供してくれるお寺を全国で募集中だ。
個性的なメンバー、遊び心あふれる楽曲、笑えるライブ。交流サイト(SNS)での積極的な発信もあり、認知度は高まっている。「ふざけたことをしているので、強いメッセージは持たせない。お客さんに100%楽しんでもらうのが絶対的な目標。宗教もエンタメも、心を落ち着かせるという共通点があると思います」と彼岸田さんは語る。
今後の予定
お盆の時期の8月16日には、THE南無ズとして最大の会場となる関内ホール大ホール(横浜市)でライブを行う。タイトルは「盆踊る大僧侶線 THE HOUJI 横浜ベイブリッジを封鎖せよ!」。これも大ヒット映画へのオマージュ。もっともっと多くの人を笑わせたい。
8月16日のライブの詳細は関内ホールのサイトで案内中。このライブに10人を招待する。往復はがきに住所と氏名、電話番号、希望枚数を記入し、〒231-0005 横浜市中区本町4の40 横浜第1ビル9階 キョードー横浜「THE南無ズ 読者招待係」へ郵送する。6月15日消印有効。応募者多数の場合は抽選。当選者に返信はがきで連絡する。



