「とにかく、自分らは健一が戻ってくるのを待つしかありません」と日村は言った。しかし、宝楽の大将の言葉が気になった。「でも、気をつけなけりゃね。噂って怖いから……」
「何かありましたか?」と日村が尋ねると、大将は「店でラーメン食ってた高校生たちが話してたんだよ。ヤクザって怖いねって」と明かした。
「詳しく教えてもらえますか?」と日村が食い下がるが、大将は「いや、会話が全部聞こえたわけじゃないんだ。俺は調理場にいたからね」と答えた。
「ヤクザが怖いと言ったんですね?」と確認する日村に、大将は「ああ。地元のヤクザが怖いと……」と続けた。すると稔が「それ、俺たちのことですかね?」と口を挟んだ。
宝楽の大将は「それはわからないけど……」と首をかしげる。日村はこのあたりのヤクザといえば、自分たちくらいだろうと考え、健一が高校生を脅したという噂が広まっていることを察した。
日村は宝楽の大将に「その話、香苗の耳に入らないようにしてください」と頼む。大将は「ああ、わかった。だけど……」と応じ、「学校にいれば、嫌でもその噂を聞いちまうんじゃないかね」と懸念を示した。



