日村の警告
「くれぐれも気をつけろ」と日村は言った。「宝楽の大将が言った噂が広まっているかもしれないからな」
真吉が聞き返した。「何ですか? 宝楽の大将が言った噂って……」
稔が説明した。「高校生の間で、地元のヤクザが恐ろしいって話が広まっているらしいんだ」
真吉がぽかんとした顔で言う。「ヤクザが恐ろしいのは、当たり前のことでしょう」
稔が言い返す。「何もしていないのに、怖がられるのは嫌じゃないか」
日村は言った。「誤解を生むこともある。おまえたちがまた、健一みたいな目にあったら面倒だ」
真吉が言う。「俺たち全員捕まったら、日村さんはたいへんですね」
まったくだ。そんなことは考えたくもない。日村はそう思った。
警察の動き
稔が言った。「警察は、三橋さんをいつ釈放するつもりでしょう」
「さあな……。釈放するつもりなんてないのかもしれない。仙川係長は、何としても手柄を立てたいんだ。健一は、飛んで火に入るってやつだったわけだ」
「でも、拘束はできないはずですよね」
「任意同行だからといって、帰りたいと言ってはいそうですかというほど、警察は甘くない。何かと理由をつけて、帰らせないんだ」
「弁護士か何か雇って、違法捜査だって言ってやったらどうですか?」
「ヤクザのために警察に逆らうような、腹の据わった弁護士がそうそういるわけじゃないよ」
「そうですかね……」



