福井県立大学の学生たちが運営する「おばま水族館」が5月、小浜市の古い町並みの一角にオープンし、人気を集めている。自分たちで捕獲した魚を展示するなど、魚好きな学生たちのこだわりが満載だ。地域との新たなつながりを生む拠点として注目されている。
町家を改修したユニークな水族館
水族館は重要伝統的建造物群保存地区「小浜西組」にあり、木造2階建ての町家を改修した。落ち着いた雰囲気の館内には30の水槽が並び、学生が若狭湾や市内を流れる南川で釣ったり、地元の漁師から譲ってもらったりしたフグやスズキなど60種100匹が泳ぐ。2階は畳敷きで、くつろぎながら観察できる。学生手作りのパネルで魚の名前や生態を説明している。
館長は海洋生物資源学部4年生
館長を務めるのは、小浜市の県立大学海洋生物資源学部4年、眞壁喜一郎さん(22)。「大学で学んだ知識をアウトプットする場所を学外に作りたかった」と話す。思いついたのが、同市にはなかった水族館だ。眞壁さんは大阪府高槻市出身。魚を好きになったのは小学2年の時、敦賀市で体験した野外キャンプがきっかけだった。釣りでは成功せず、素潜りで網を使いながら何とか1匹捕まえた。「頭を使って網で魚を捕ることが感動的で、漁師になろうと思った瞬間だった」と振り返る。
大学での学びと地域との関わり
進学した県立大学の海洋生物資源学部では、小浜湾で漁業者らと一緒にカキの養殖をしたり、高水温問題について調査したり、幅広く海洋問題に取り組める。一方、漁業関係者以外の地域住民らと接点を持つ機会は少なかった。1年生の2023年秋頃、「面白い活動ができる場」を目指し、「水族館を作る」と同級生に宣言した。しかし、物件探しでは見積額が想定以上だったため、一度は断念。それでも、卒業生や知り合いの建築士らに相談しながら、小浜西組で空き家だった町家を借り上げ、クラウドファンディングで資金を調達した。「地域の人たちに助けられた」と話す。
開館後は多くの来場者でにぎわう
水族館は5月1日に開館。これまで親子連れら3800人が訪れ、にぎわっている。運営には学部生のボランティア約40人が参加する。水槽にどんな魚を入れるか、どう管理するかはそれぞれに任せる。深海魚の魅力を伝える缶バッジや、ウツボのキーホルダーなど、学生自らが作ったユニークなお土産も豊富だ。眞壁さんは「魚好きの学生のこだわりがつまった空間を楽しんでほしい。そして、ここがいろんな人たちが集まる拠点になれたら」と語る。卒業後も漁師として小浜に残り、地域を盛り上げていく。
開館は木曜~日曜と祝日の午前10時~午後4時。料金は一般700円、高校生以下300円、未就学児無料。



