何層にも折り重なった生地に、こんがりとした焼き色。かじるとサクッと軽い音を立て、バターの風味が口いっぱいに広がる「パイ」。滋賀県米原市のパティシエ川口友那さん(31)は、本場フランスで学んだパイ作りを地元に持ち帰り、洋菓子ブランドを30日に立ち上げる。「伝統的な日常の味を届けたい」。その一心で厨房に立ち、一品一品に向き合う。
ブランド名は「Le Tomona」
ブランド名は「Le Tomona(ル トモナ)」。実家の家業で、煎餅や焼菓子の製造販売を手がける「扶蓉製菓本舗」(顔戸)の隣で開業する。アップルパイのほか、タルト生地の器にカスタードを詰めた「フラン」、パイ生地を砂糖と一緒に巻いて焼いた「パルミエ」などを販売。扶蓉の商品も並べる予定だ。
こだわりの素材と製法
生地作りで使うのは3種類の小麦粉、発酵バター、水、塩、グラニュー糖のみ。最適な折り方を追究し、素材の味が際立つような自然な甘みにこだわる。川口さんは「シンプルだからこそ、作り手の姿勢がそのまま表れる」と説明し、「フランスでは日常的に食べられる伝統的なお菓子。本場の味を知ってほしい」と力を込める。
パティシエへの道のり
扶蓉2代目の両親の背中を見て育った。幼い頃からお菓子作りに挑戦するうち、「人にお菓子を贈って喜んでもらうのが好き」という気持ちが芽生えた。外国の文化や言葉に関心があったことでパティシエを志し、名古屋の製菓学校に進学。卒業後は県内や大阪で経験を積んだ。
働いて10年がたった頃、本場のお菓子作りを極めようと、フランス東部アヌシーに渡った。長年の夢だった海外修業。現地では製菓技術だけでなく、お菓子を通じて人を大切にする文化を学んだ。
休日にお菓子を囲み、家族とだんらんしたり、友人同士で振る舞い合ったり。川口さんにとって原点といえる文化に触れたことで、「家族のそばで、大切な人との時間に寄り添えるようなお菓子を作りたい」と考えるように。帰国後、扶蓉の隣でブランドを立ち上げることを決めた。
クラウドファンディングで支援募る
開業まであと1週間。悲願実現までこぎ着けることはできたが、事業を安定して継続するには設備が不足しており、必要経費をクラウドファンディングで募っている。目標額は80万円。寄付額に応じた返礼品として、Le Tomonaと扶蓉の商品を用意している。
川口さんは「ほっとひと息できるようなお菓子を作りたい。地元の人たちに、気軽に足を運んでもらえる店にできれば」と話し、支援を呼びかける。
今月は31日にもオープン。6月以降は水、木、金曜と、第2、第4土曜のいずれも午前11時から午後4時まで営業する予定。



