万博閉幕から約半年、レガシーとは何か?80回通った記者が問う
万博閉幕から約半年、レガシーとは何か?

昨年10月に閉幕した大阪・関西万博から約半年が経過した。私は仕事とプライベートを合わせて80回以上会場に足を運び、社内で最も万博を訪れたと自負している。会期中から勝手に「万博記者」と名乗り、このイベントの意義を追い続けてきた。

レガシーをめぐる議論

閉幕後も、万博の「レガシー(遺産)」をめぐる議論は続いている。4月末に東京都内で開かれた国の会議では、チケット収入などで得た運営黒字を、万博で披露された最先端技術の実用化や、大屋根リングの一部保存、記念館を含む公園ゾーンの整備に充てる案がまとめられた。万博の成果検証委員会には国や自治体、経済界の関係者のほか、会場デザインプロデューサーの藤本壮介さんや日本館名誉館長の藤原紀香さんも出席した。

万博は多額の税金を使った国家イベントだが、会場はわずか半年で姿を消す。主催者らが万博に行けなかった人々や将来世代に向けて、成果や意義を伝えようと考えるのは当然だ。一方で、万博をそれぞれの人生にどう生かすのかを考えることも重要だと私は思う。

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来場者の声から見えた未来

「あなたにとって万博とは何でしたか?」。開幕1周年のイベントで来場者に聞いて感じたのは、自身の未来を描くことの大切さだった。大阪市内の50代の女性は、パーキンソン病と闘う親族がいるという。治療に困難さを感じていた時期もあったが、培養液の中で動くiPS細胞で作った心筋シートを見ながら「近い将来に病気が治せるかもしれないという希望をくれた」と語った。市内の小学4年生の女児は、学校で習った英語を使い海外パビリオンのスタッフと会話を楽しんだ。将来の夢は看護師といい「日本語が話せない患者さんにも優しく接する看護師さんになりたい」と目を輝かせた。

万博には184日間の会期中、多くの人々が訪れ、それぞれの体験を持ち帰った。その体験は、技術の進歩や国際交流だけでなく、個々の人生に希望や目標を与えるものだった。レガシーとは、単に物理的な遺産や記録ではなく、人々の心に刻まれた記憶や、未来への原動力なのかもしれない。

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