USJ開業25周年、脱ハリウッド戦略で世界3位の集客力に成長
大阪市此花区のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」が3月31日、開業から25周年を迎えた。記念式典では人気キャラクターのエルモやミニオンたちがダンスを披露し、来場者を出迎えた。開園時には多くの客がキャラクターとハイタッチしながら入場していく光景が見られた。
戦略転換の軌跡
USJは2001年、大阪市の第三セクターとしてオープンした。当初は「E.T.」や「ジュラシック・パーク」などハリウッド映画の世界を再現することを基本方針としていた。しかし、開業翌年には来場者数が760万人に激減し、その後も年間1000万人を下回る状況が続いた。
明治大学兼任講師の中島恵氏(テーマパーク事業論)は「ハリウッド映画の世界観は日本人には必ずしも受け入れられなかった」と指摘する。夜間パレードの不足や、子どもや女性向けエリアの欠如も課題となっていた。
コンテンツ多様化への転換
転機となったのは、運営方針の根本的な見直しだった。2012年にオープンした「ユニバーサル・ワンダーランド」では、スヌーピーやハローキティなど人気キャラクターを前面に押し出し、子どもや女性客を意識したショーやパレードを強化。これにより2013年度の来場者数は1000万人を回復した。
さらに2014年には「ハリー・ポッター」エリアを開業。全国からファンが訪れるようになり、訪日客の増加にも大きく貢献した。村山卓社長は「大阪に来る観光客が急激に増え、関西全体のターニングポイントになった」と振り返る。
2021年には600億円以上を投じて「スーパー・ニンテンドー・ワールド」を開業。現在は「ポケットモンスター」をテーマにした新エリアの整備も計画されている。
リピーター率7割の秘密
USJの成長を支えているのは、来場者の7~8割を占めるリピーターだ。黒川浩延CMO(最高マーケティング責任者)は「来るたびに新しい発見がある状態を作る」ことを重視し、1年を5期に分けて新たなイベントやショーを展開している。
特に力を入れているのが日本の人気マンガやアニメとのコラボレーションだ。
- 「名探偵コナン」
- 「進撃の巨人」
- 「新世紀エヴァンゲリオン」
- 「葬送のフリーレン」
など、ファン層が重ならない作品を選び、アトラクションやイベントに活用している。期間限定のグッズや飲食メニューも随時投入し、来場者1人あたりの消費額向上を図っている。
データ駆動型のマーケティング
150人以上からなるマーケティング部隊が、日々の来場者アンケートから膨大なデータを収集・分析。これをもとに企画を練り上げている。中島氏は「USJは数々の作品とのコラボで成功実績があるため、権利者側からコラボを持ちかけられる好循環が生まれている」と分析する。
今後の課題と展望
現在の課題はパークの拡張だ。混雑時には入場券の販売を制限することもあり、来場者数は横ばいが続いている。2030年には近くの人工島・夢洲に統合型リゾート(IR)が開業予定で、大阪一帯の訪日客増加が見込まれる。
大阪国際大学専任講師の杉崎聡紀氏は「USJ周辺には拡張の余地がなく、将来的には離れた場所に『第2パーク』を作る必要があるかもしれない。IRとの相乗効果を高める仕組みができれば、大阪ベイエリアの活性化につながるだろう」と指摘する。
国内テーマパーク市場の動向
コロナ禍収束後、国内のテーマパーク市場は好調だ。日本生産性本部の「レジャー白書」によると、2024年の市場規模は前年比4.8%増の1兆190億円と、継続調査開始以来最大を記録した。
新規開業も相次いでいるが、東京ディズニーリゾートとUSJの「2強」体制は変わらない。資金力に乏しい小規模事業者は苦戦を強いられるケースも多く、2020年には「みさき公園」や「としまえん」が閉園。最近では東京・お台場の「イマーシブ・フォート東京」が営業終了した。
USJは開業25年を機に、さらなる成長に向けて新たなステージへと歩みを進めている。



