漁船燃料枯渇危機、直売効果で当面回避も先行き不透明
漁船燃料枯渇危機、直売効果で当面回避も先行き不透明

中東情勢の影響を受け、和歌山県内の漁業協同組合で船舶用燃料が不足している問題で、今月下旬に石油元売り業者による漁協への直接販売が実施され、深刻な影響を受けていた漁協では燃料の枯渇が当面回避できる見通しとなった。卸売業者を介さない直売効果に漁業者は期待を寄せているが、安定供給の見通しは立っておらず、依然として予断を許さない状況が続いている。

燃料価格の高騰と入札不調

県によると、重油の価格は3月1日時点で1リットル当たり約120円だったが、4月上旬には180円前後に急騰した。重油を入札で調達していた有田箕島、雑賀崎、湯浅湾の3漁協では、業者の希望価格が高すぎたり応札がなかったりして、入札が成立しないケースが相次いだ。このため、一時は4月中に燃料が枯渇する恐れがある状況に陥ったという。

政府の要請と調整

政府は石油元売り大手に対し、水産業を含む「重要施設」への直接販売を要請。宮崎知事も4月14日、水産庁に対策を要望していた。県や水産庁、資源エネルギー庁は元売り業者らと調整し、全国漁業協同組合連合会(全漁連)や県漁連を介して、県内3漁協が燃料を調達できるよう調整を進めた。

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直売による燃料確保と価格低下

その結果、5月25日に雑賀崎漁協が重油28キロリットルを確保。27日からは有田箕島漁協への供給も始まった。価格は1リットル当たり110円台で、4月上旬の水準から大幅に低下した。県水産振興課の担当者は「両漁協は高値の時期に仕入れた重油をまだ抱えているため、漁業従事者への販売価格はすぐには下がらないが、在庫が入れ替われば下がるだろう」と分析している。

湯浅湾漁協への供給

両漁協とは異なる種類の重油が必要だった湯浅湾漁協にも23日、全漁連から14キロリットルが供給された。追加要請分も近く調達できる見込みで、3漁協の燃料枯渇時期は6月中旬から8月上旬に延びたという。

出漁制限の緩和と今後の見通し

底びき網漁については、出漁を週2回に制限していた有田箕島と和歌山北の2漁協が27日、週3回に緩和することを決定。湯浅湾も緩和を検討している。ただ、中長期的な見通しは立っておらず、船びき網漁は有田箕島など5漁協で出漁制限が続いている。県の担当者は「今後の状況は依然不透明。情勢の推移を見守りながら、限られた燃料を大事に使うしかない」と話している。

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